実家の居住形態がその後の住宅選択に影響
まず、興味深い点として、「実家での居住経験の長さが、現在の住まいの選択に影響している」点です。注文戸建の実家で住んでいた人は現在も同じ注文戸建住宅を選ぶ傾向が強い一方で、一定数は集合住宅も選んでいます。また、集合住宅の実家で住んでいた人が注文戸建を志向する割合は比較的少ないということも表れました。幼少時の住まい形態がその後の住宅選択に影響を与える?(写真協力:ダイワハウス)
この背景を推測するに(以下は見解です)、同調査のフリーコメントを見ると、「アメリカでの生活を日本でもしたい」「庭でBBQやプールをした記憶に満足してたから」「海外で暖炉のある生活をしていたから」など、戸建での強く肯定的な記憶が残っている人は注文戸建を志向する傾向にありますが(これらのコメントは海外居住経験の多い三井ホームグループオーナーならではの部分があるかもしれません)、そのような鮮明な記憶が強くない場合、「戸建は管理が大変」「庭の手入れが時間的にできない」「鍵ひとつで家を空けられる」といった理由が調査コメントに挙げられているように、集合住宅で育った人はなかなか戸建をゼロから建てる流れに流れにくいといったことがあるのかもしれません。
戸建の選択理由は「子どもの成長」
第二に興味深い調査結果は、「現在の住まいを選んだ理由で、戸建居住者は子どもの成長、集合居住者は使い勝手向上」というものです。戸建居住者が集合居住者を抜いている理由は「子どもの就学」「同居」「近居」「建物・設備の不満」であり、最後を抜かせばほとんどが家族の事情ということになります。戸建を選択する理由で強いのは「子どもの誕生」
第三に興味深い調査結果は、「住まいに愛着を感じるポイントは、戸建居住者→住空間、集合居住者→生活環境の利便性」。特に戸建居住者のヒアリングでは「話を詰めて自分たちが作った家という印象が強いから」など、建売よりは自分たちでイチから注文した注文戸建のほうが「住空間への愛着」が強いといえそうです。
戸建居住者はリフォーム建替えにつながる可能性も
また「今後の住まいの選択として、戸建居住者→リフォームや建替えて住み継ぐ、集合居住者→売却して住み替える」という結果になったのも、上記の戸建居住者の強い思い入れと関係ありそう。「今の家が愛おしくて将来マンションへの住み替えと迷っている」などのコメントにも表れています。住宅双六が様変わりし、戸建定住派は減っているとはいえ、一定層は存在し、その原点は実家や幼少時の戸建での記憶であり、その後、自分たちで注文しながらつくりあげた戸建であれば尚更、我が家への思い入れは強くなり、自宅のメンテナンスやリフォーム、家歴書の承継やコミュニティづくりにも生きてくる…という、双六の中に多様な選択肢がありながらも、戸建ゆえの1本の確かな「道」「好循環」は見えてくるのかもしれません。