「それを見るより、仕事をしなさい」と言われてしまうから
せっかく作ったのに利用されていない……そんな例はリフレッシュスペース以外にもあります。そのひとつがWeb社内報です。社内コミュニケーションメディアは印刷社内報とWeb社内報とのメディアミックスの時代となっています。印刷社内報はじっくりと読ませる企画、Web社内報は速報性のある情報を掲載するという、コンテンツの住み分けが運用のポイントです。
一方、印刷社内報を廃刊して、Web社内報だけにしてしまう企業も存在します。そうなると、閲覧率がどんどん下がる、そのような企業が多いようです。最近では、パナソニックが、Web社内報だけだったところ、印刷社内報も復刊したというニュースもありました。
なぜ、Web社内報になると読まれなくなるのでしょうか。一つは、プル型メディアの限界です。プッシュ型メディアである印刷社内報は、手元に配られ、パラパラとめくることができます。しかしプル型メディアのWeb社内報は、自らの意志を持ってクリックして見にいかなければなりません。そこに見たい記事、役に立つ記事があると分かっていれば見にいくでしょうが、それが本当に掲載されているかどうかは、見にいくまで分かりません。見なくても仕事ができる、となれば、見にいく確率は低くなります。そこが大きなハードルとなります。
また、Web社内報上で長文の企画物は、読まれない傾向にあります。写真が中心のニュースであればまだしも、編集部が一生懸命作った特集企画は残念ながら、そのコンテンツ量に反比例して読まれなくなります。
Web社内報、閲覧する風土がないと、見るに見られない
「Web社内報に掲載しているから」とトップに言ってもらう
人があるものを読む理由には、二つあると言われています。情報として積極的に吸収しようという、積極的な閲読関心。
・仕事に役に立つ
・手軽に知りたい
・話題を豊富にしたい、知識を身につけたい
・物事の判断の参考にしたい
・出来事を早く知りたい、詳しく知りたい
もう一つの理由が、防衛的な意味合いが強い消極的な閲読関心。
・仲間はずれになりたくない
・読まないと仕事上、問題がある
・読めと指示されているから
一般的には、役に立つから読むのでしょうが、もう一つの消極的な閲読関心は、つまり、読んでおかないとまずいという理由です。
例えば、経営トップに「この詳しい内容はWeb社内報に掲載しているから、読んでおくように」そのように言ってもらうとか、読まないとまずいという状態を作り、徐々に、Web社内報を閲覧するということは、経営トップの指示に従っているのだ、そのような大義名分を醸成していくのです。
本来は、社内の情報を知っておくことが仕事上役に立つから閲覧する、というのが美しい姿でしょうが、それでも読みにくい雰囲気があるというのであれば、このように経営トップを活用するというのも一つの手でしょう。
ある企業では課長の昇格試験の問題が社内報から出る、ということで、該当者は必死になって社内報を読むそうです。試験近くになると、社内報の在庫が飛ぶようになくなるそうです。日ごろから大切にストックしておいて欲しいものです。