起伏の多い地域や郊外の住宅地では、裏山を背にして建っている住宅も多く見られます。緑の多い閑静な環境だったり裏山を「借景」にできたりして、そのような立地が好まれることもあるでしょう。
災害対策や宅地造成に伴って擁壁が造られていることもありますが、自然のままの姿で樹木が生い茂った裏山の場合も少なくありません。
その高さや傾斜などに応じて、下端から一定距離を離して建築するように行政から指導を受けるケースもありますが、裏山からの間隔がほとんどないような位置に建てられている住宅もあります。このような住宅の購入を検討するときの注意点は何でしょうか。
いちばん大事なことは、もちろん安全面の確認です。傾斜が緩やかであればあまり問題はないものの、緩やかな斜面の裏山でも大雨や大地震によって崩れることがあります。過去にその裏山、あるいは周辺で崖崩れなどが起きていないか、自治体の公開資料などがあればしっかりと確認しておくべきです。
地盤が弱い斜面などの場合には、樹木はそのままで崩落防止のためにアンカーが打ち込まれていたり、ネットが張られていたりする場合もありますが、すべてで対策がとられているわけではありません。
また、その裏山の所有者も確認しておきたいところです。個人が所有する山の場合で、周辺住民への説明もないままある日突然に樹木が伐採され、保水力を失って次の大雨ですぐに崩れたというような事例もあります。個人や法人が所有する裏山は、そのまま維持されるという保証がないことも考えておくべきでしょう。
万一の事態に備えて、家の構造や被害の防止対策がどうなっているのかを入念に確認することが重要です。
さらに、生息する小動物や鳥、昆虫などのほか、夏期における害虫の発生状況も売主からしっかりと聞き取り調査をするようにしましょう。悪臭が漂うような荒れた森ではないか、その様子をよく観察することも大切です。ただし、新緑の季節における樹木の匂いなど、個人によって感じ方が異なる要素もありますから、想像力を働かせることも欠かせません。
落葉樹が多ければ、秋には掃除が大変だったり、屋根に落ちた葉で雨樋が詰まることのないように手入れが必要だったりすることもあらかじめ意識しておくべきです。敷地の上空に張り出した樹木から、秋には強い臭いを発する実がポタポタ落ちてくるようなケースもあります。
都市部ではあまり心配ないでしょうが、郊外の裏山で上部に車が進入できる山道があるような場合に、粗大ゴミが不法投棄されていることもあるでしょう。そのような事態になっていないか、よく観察してみることも大切です。
関連記事
不動産売買お役立ち記事 INDEXがけに近接する敷地の建築規制
急傾斜地崩壊危険区域とは?
擁壁