【不動産売買ワンポイントアドバイス No.041】

がけ条例による規制範囲の例

がけ条例による規制範囲は自治体によって異なる


がけに近接する敷地の場合には、建築物の位置や安全性などについて一定の規制や制限があります。すでに擁壁が築造され、その構造や強度に問題がなければよいのですが、そうでない場合には十分に注意しなければなりません。

がけに関する規制などは都道府県や市町村の条例によって定められています。たとえば東京都の場合は「東京都建築安全条例(第6条)」ですが、がけに関する規定を指して一般的に「がけ条例」と呼ばれることも多いでしょう。

この「がけ条例」の内容は自治体ごとに異なり、また建築基準法そのものの規定でもないため、一般向けの解説本などでは触れられないことが多くなっています。

さらに、ネット上の解説ではどこの自治体の規制なのかが明確に書かれていなかったり、Q&Aサイトでは質問者の居住地と回答者が対象としている自治体とがズレていたりする例も見受けられるため、間違って理解されることも少なからずありそうです。

宅地建物取引主任者による売買契約前の重要事項説明でも、がけ条例の適用があることを見落としたことによる説明漏れが生じて、仲介業者の不法行為や債務不履行が問われるトラブルに発展するケースがあります。

まず、規制の対象となるがけの定義ですが、ほとんどの自治体は「30度を超える傾斜のもの」としています。これは宅地造成等規制法施行令による定義を準用したものでしょう。高さについては2mを超えるもの(または2m以上)としている自治体が多いものの、一部の自治体では3m以上など、異なる定義がされている場合もあります。

ちなみに東京都は、がけの定義において「2分の1こう配の斜線をこえる部分」という表現をしていますが、これは底辺2:高さ1の三角形で表される角度であり、厳密にいえば28.65度ほどになります。

規制対象となる範囲については、がけの高さの2倍とする自治体が多く、1.5倍とする例もあります。しかし、その起点については「がけの上端」または「がけの下端」で、自治体によって異なりますから十分に注意しなければなりません。

自治体ごとに最も大きく異なるのはその緩和規定です。たいていは適切な擁壁を設ければ、がけに接して建築することも可能ですが、その他の措置についてはしっかりと確認することが大切です。一律の規定を設けている場合だけでなく、土質などに応じて規制内容が細かく定められている場合もあります。

いずれにしても「がけに近接する敷地には何らかの規制がある」ということを覚えておくようにしましょう。そして、規制の内容については「その自治体で適用される条例」を確認することが重要です。


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