【ガイドの不動産売買基礎講座 No.31】

地震や大雨によって宅地が崩壊すると、甚大な被害を受けることになります。何ら対策を講じなければ危険な宅地は全国各地に数多くあり、造成に対して一定の制限が加えられることは当然の措置として考えなければなりません。

「宅地造成等規制法」による制限について、そのあらましをみていくことにしましょう。


宅地造成等規制法とは?

宅地造成に関わる規制や指導は、古くは建築基準法や自治体の条例などで軽度にされる程度に過ぎなかったようです。しかし、崖崩れや土砂の流出による災害が頻発したことから、1961年(昭和36年)に「宅地造成等規制法」が制定されました。

したがって、それ以前に造成された宅地では、現在の基準に合致していない擁壁(ようへき)が造られているところも多いので注意しなければなりません。

「宅地造成等規制法」の目的は、「宅地造成に伴いがけくずれ又は土砂の流出を生ずるおそれが著しい市街地又は市街地となろうとする土地の区域内において、宅地造成に関する工事等について災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与すること」となっています。

都道府県知事により「宅地造成工事規制区域」に指定された区域内で、高さ2mを超える崖を生じる切土、高さ1mを超える崖を生じる盛土、または切土と盛土を合わせた面積が500平方メートルを超える宅地造成工事をしようとする場合に、造成主はあらかじめ都道府県知事の許可を受けなければなりません。


宅地造成工事規制区域内の宅地を購入するとき

宅地造成等規制法にもとづく宅地造成工事規制区域内での工事にあたり、地盤の安全性確保や技術的基準に合致した擁壁を設置するとともに、工事完了時には検査を受けることになります。

そして、基準に適合していれば「検査済証」が交付されますので、このような宅地を購入する際には、必ず「検査済証」を確認してください。

また、宅地造成工事規制区域内の宅地において、既存の擁壁や排水施設が不十分なために危険性が高い場合には、改善命令を受ける場合もあります。擁壁の工事はかなり多額の費用を要しますから、新たに造成する場合ではなくても事前に十分な注意、調査が必要です。

なお、宅地造成工事規制区域に指定されていないエリアでも、擁壁が必要となる形状の宅地などでは建築確認審査のなかで総合的に判断されます。規制区域でなくても崩壊の危険性は常にあるため、中古一戸建て住宅を購入するときでも同様に事前のチェックが欠かせません。


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