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壺中天公演 塩谷智司『太陽』インタビュー!(4ページ目)

大駱駝艦の拠点・壺中天(こちゅうてん)で振付作『太陽』を発表する塩谷智司さん。前作『父壁』は舞踊批評家協会新人賞を受賞するなど大きな評価を博し、待望の新作に期待と注目が集まります。ここでは、上演を控えた塩谷さんにインタビュー。作品への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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大駱駝艦に入ったきっかけは何だったのでしょう?

塩谷>高校卒業後、車のモデルをつくる会社に就職しました。周りはみんな車好きのひとばかりなので、車談義をしたり、ツーリングをしたりと楽しそうにしてる。でも僕は車に興味がなかったので、そこに加わる感じでもなくて。じゃあ何でその会社に入ったんだって思いますけど(笑)。そんな調子だから休みの日もすることがなく、よくひとりで映画を観に行ってました。

あるとき北野武監督の『菊次郎の夏』という映画を観たら、麿さんが出演されていて。俳優としては知ってましたけど、ああいう踊りをする方だというのはそこで初めて知りました。どういう訳か興味を持って、調べてみたらちょうど本公演が天王洲アイルのアートスフィア(現・銀河劇場)であるという。それが2000年の『完全なる人人』という作品で、ひとりで当日券を買って観に行きました。チラシからしてすごく怖くて、“何が起こるんだろう?”って緊張していたのを今でもよく覚えています。

麿さんが一番最初に出てくるんですけど、鮮烈でしたね。三階席の一番後ろで観てたのに、ものすごいインパクトがあった。舞踏のことはよくわからなかったけど、肉体の凄みがバンときた。そのときチラシで壺中天でワークショップを開催するというのを見て、参加したのが始まりでした。

舞台なんて全然興味がなかったのに、自分でも驚きです。でも大駱駝艦に入るひとは、わりとそういうタイプが多いみたいです。なかにはバレエをやっていたメンバーもいるけれど、たいていダンスも舞台も何もやってなかったようなひとが入ってくる。そういう方が逆に惹かれるのでしょうか。僕にとっては人生の転機でした。

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「父壁」(2009)  撮影:松田純一


全く違う世界に飛び込むことに戸惑いやためらいは? 周囲の反対はなかったですか?

塩谷>戸惑いもためらいもなかったです。若かったからかもしれませんけど、どちらかというとやりたかった。社会人生活でストレスが溜まっていたのかもしれません。何か表現したかったんですよね。ワークショップの中で塾生公演というのがあって、それが思いのほかウケて気持ち良くなったのかもしれない。“こんな面白い世界があるんだ!”って醍醐味を感じたというか、あの経験がひとつの後押しになったと思います。

母はわりと進んで“いいよ”と言ってくれました。でも父は絶対にダメって言っていたと思います。僕が17歳のときに亡くなっているんですけど、もし父が生きていたらやってなかったのかなぁと……。

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大駱駝艦・天賦典式「ムシノホシ」(2014)
撮影:川島浩之



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