アドバイス1 今後の家計を考えるなら、貯蓄を増やすことが最優先
家計でもっとも気になるのは、貯蓄が少ないという点です。貯蓄額が「10万円」というのは、何かあったときにとても心許ない金額です。さらに、毎月の貯蓄が「2万円」とのことですから、本来なら年間で24万円貯まることになります。そうなると、結果的にその年のうちに貯蓄をくずし、何かに支出していることになるわけです。問題はそれが何なのか、ということ。その中身の把握と、自分にとってそれが本当に必要な支出だったのかを考えてみる。まずはそこから始めてはどうでしょうか。
なかなか貯まらない人の傾向のひとつに「流され消費」があります。
消費した理由は「安かったから」あるいは「流行っているから」。そこには「自分」という主語がありません。つまり本当に自分が必要だったから購入したわけではないのです。収入は限られています。とくに家計に余裕がない場合、こういった支出は大いに貯蓄の足を引っ張ります。田中さんもぜひ、チェックしてみて下さい。
アドバイス2 もう一度、「支出」の必要性を見直してみよう
具体的な家計の見直しとして、まずは固定支出である保険について考えてみましょう。田中さんが現在加入されている3本の保険のうち、終身保険は貯蓄性もありますので継続していいと思います。対して、医療保険は保険料がやや割高と感じます。保障内容について、たとえば120日型を60日型に、あるいは女性疾病の特約を外すといったことで保険料を下げてはどうでしょうか。また、ガン保険についても、保険料3964円は仮に70歳まで払い続ければ200万円近くになります。すでに医療保険に加入していること、また現在の年齢、収入や貯蓄額を考えれば、その分、貯蓄に回すのも一案です。
もうひとつ、気になるのはご家族などへのプレゼント。誕生日や母の日、クリスマスなど、いただいたデータを合計すると年間8万円ほどになります。ご家族思いであることは本当にすばらしいと思いますが、現状を考えれば、もう少し抑えて貯蓄を増やしたいところ。経費を抑えるために、一部手づくりの品などに切り替えても、田中さんの気持ちは十分伝わるはずです。
アドバイス3 「長く働く」ことを目指すのも有効な収入アップ法
田中さんのご相談が「このまま独身でやっていけるかどうか」ということですが、いずれリタイアすることを考えれば、やはり貯蓄がポイントになります。貯蓄を増やすには「支出の削減」と「収入アップ」の2つの方法があります。「収入アップ」でつい考えがちなのが、正社員になって年収を上げる、あるいは転職して給与額を上げるといったこと。
しかし、もうひとつ、長く働くということも結果的に収入アップにつながります。65歳まで、あるいは70歳まで働けば、その分、収入アップと同じ効果が期待できるわけです。
田中さんの場合、今の職場で正社員になる可能性は低いとのことですが、働きやすさには満足しているとのこと。非正規雇用の方の場合、職場への不満が大きいケースが多いので、そこは安心できる部分です。したがって、現在の職場でできる限り頑張ってみてはいかがでしょうか。
とは言え、正社員等のキャリアアップをまったくあきらめてしまうのは、自分で選択肢を狭めていることになります。もちろん、現実はきびしい部分もありますが、それでもそういった希望も捨てずに持ち続けてほしいと思います。
教えてくれたのは……
八ツ井慶子さん
取材・文/清水京武
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