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石井かほる出演『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』(6ページ目)

日本洋舞史の100年を振り返る『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』。第二回開催を迎える今回は、昭和初期を中心に初演された6作品を上演し、過去から未来へとアーカイブを繋ぎます。ここでは、出演および作品監修を手がける石井かほるさんにインタビュー。公演への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド


石井さんは門下生のなかでも早くからご自身の作品を手がけ、高い評価を受けています。

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石井漠先生直筆の色紙

石井>みんなには、自分の作品をつくるなんてとんでもないことだと言われました。でも私は気にしなかった。先生が中国へ行って留守のとき、『現代の顔』という作品をつくったんです。先生が戻ってらしたときに見せたんですが、怒られるかと思ったら“面白い!”と言ってくださった。そして“これは『現代の顔』じゃなくて、『現代の顔、顔、顔』と、3つ顔を並べた方がいいよ”とアドバイスをくれて。それと『アニトラの踊り』を持ってモスクワへ行き、コンクールで第二位をいただきました。

モスクワで男性バレエダンサーを見て、なんて素晴らしいんだとものすごく驚かされました。空中に浮いたまま落っこちてこないし、それでいて音もなく着地する。帰国してすぐ漠先生に、“私もバレエを習いに行きます”と宣言したんです。もともと先生はイタリアのローシーにバレエを習っていて、そこから自分の舞踊詩をつくりはじめた。漠先生もバレエをやってらした訳だし、これは必要だと思いますと。今度ボリショイバレエ団から先生が来日するのでぜひやらせてくださいと言ったら、先生は“いいよ”と言う。普通はそんなことありえない話で、破門だなんて言われるらしいですね。

バレエ学校で出会ったのがメッセレル先生でした。当時の私はすごく太くて、硬くて、それはもうひどかった。でもメッセレル先生が、音楽的に素晴らしい、音感がいいと言ってくれて。ワルツのリズムをすぐに取れたのは教室の中で私だけだったんです。それは漠先生のお陰だと思います。先生はすごく音に厳しかったから。

私もよく言っていますが、音楽に合わせているのではダメ、心で歌ってないとウソなんです。リズムは合わせるものではなくて、心で歌うものなんです。だから私、カラオケはダメ(笑)。カラオケって、自分がムリにテンポを合わせて歌わなきゃいけないでしょう? でもダンスは合わせているだけではダメなんです。まず合わせるけど、そこから先は歌わないと。そこを飛び越えるのは大変ですね。けれど、バレエもそうだし、詩も、絵も、きっと全部そう。全てそこに集約されると思います。

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『山を登る』1987年モスクワ出発前、研究所開催の送る会にて。漠先生と。



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