トーマス博士が発見した「子供の9つの気質」って?

ひとりとして同じ子はいないのも、9つの気質がその子それぞれ違うから

ひとりとして同じ子はいないのも、9つの気質がその子それぞれ違うから

今から50年ほど前、アメリカの精神科医であるトーマス博士らが実施した『ニューヨーク縦断研究』は、子供の気質のタイプや個人差を解明した先駆的研究として、今なお、子育てや教育の分野で活用されています。

その研究において見出されたのが「9つの気質」。次にご紹介する9つの項目は、俗に言う「生まれながらの気質」とされるものです。中には「こんなことも生まれつき?」と思うものもあるかもしれません。それぞれの項目とお子さんの気質を照らし合わせて読み進めてみてください。

  1. 活動の活発さ:「○○君は活発ね」「○○ちゃんは穏やかな子よね」のような、その子の活動レベルの指標のこと。
  2. 注意の逸れやすさ:外的な刺激で、どの程度気が逸れやすいかを指します。ネガティブなケース(例:話し出すと手で持ったコップに注意が行かなくなる。勉強中、周りの音に反応しやすい)ばかりではなく、ポジティブなケース(例:砂場でぐずり出したので、ブランコに連れていったらケロッと機嫌が直った)のも含まれます。
  3. 粘り強さ:難題を前にどれだけ粘れるかを指します。これもポジティブ、ネガティブの方向性があります。例えば、ポジティブな粘り強さの例では、パズルの1コマを探すのに、何分頑張れるか? ネガティブな粘り強さの例では、ママに「○○をやめなさい」と注意されたときに、ママに反抗して粘り続けるのか? など。
  4. 新しい環境への反応の仕方:新しい環境、新しい人に出会ったときに、どう反応するかを指します。新しい場所にワクワクしズンズンと入っていける子、ママの後ろに隠れてしまう子、など。
  5. 規則正しさ:食欲、睡眠などの生活リズムの規則性。決まった時間にお腹がすく、毎晩20時になると眠くなる、など。行動パターンが読みやすいか、そうでないかにもつながります。
  6. 変化に対する順応の速さ:物事が変化したときに、それにどれだけ早く順応できるかを指します。例えば、外に出ようと思ったら急に雨が降ってきて予定変更、のようなときに、すぐに家の中での遊びにスイッチできるか? いつもの食事⇒お風呂⇒テレビの順番を、今日に限り、お風呂⇒テレビ⇒食事の順番にスムーズに適応できるか? など。
  7. 五感の敏感さ:周りの音にどう反応するか? 漂う香り、匂いに気づくか? 好き嫌いが多いか、何でも食べるか? 暑い、寒いなどの気温の変化に敏感か? 着心地の悪いもの(チクチクするなど)を着たときどう反応するか? のように、良くも悪くも五感がどれくらい敏感かを指します。
  8. 喜怒哀楽の激しさ:物事に対する反応の強さのこと。これもネガティブ、ポジティブの方向性があります。たとえば、ネガティブな例として、イヤなことがあると、地団駄を踏んで大泣きする。ポジティブな例として、嬉しいことがあるとものすごく喜ぶ、など。
  9. ベースの気性:もともと気難しい子、楽観的な子など、日常の大半をどのような気分で過ごすか? 物事をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えがちか、という一般的な傾向を指します。


変えられないものを変えようとしていない?

「個性」や「その子らしさ」とは、これら9つの気質がその子ごとに違うレベルで組み合わさったものを言います。9つそれぞれが、強・中・弱と異なる形で存在していることを考えれば、兄弟であっても個性が同じではないのがお分かりいただけると思います。

これらの気質は、いわば、その子のテンプレート。だから親が変えようと思って変えられるものではありません。でも日々、育児に奮闘していると、いつのまにかこの気質とにらめっこしてしまっていることがよくあります。育児のお悩みを抱えているママが、この変えられない個性を変えようともがいて、変わらない我が子にイライラしてしまっているケースは本当に多いのです。

これだけのことが生まれながらにして決まっていることを考えれば、親としてどう接したらよいかが一言で言えないのは明らかです。もともとにぎやかな場所が好きな子と静かな場所を好む子では、同じ声かけでは通用しません。


パパやママとも違うひとりの人間として見てあげよう

また忘れてはならないのが、パパやママ自身にもこの9つの気質が備わっていて、我が子とは違う個性を持っているということ。もしママが粘り強い気質なのに、子供はすぐにあきらめてしまうという場合、ママはつい「なんで? どうして?」と感じてしまいがち。なぜなら、粘り強いママにとっては、我が子のあきらめが理解しがたいからです。「なんでもっと粘れないの?」と叱りたくなりますが、実はそれは、のれんに腕押し。「もともとあきらめやすい我が子にはどう接すべきか?」という視点で見てあげること、それが「その子の個性に合った対応」ということになります。

ぜひ、上の9つの気質を、親子それぞれでチェックしてみてください。片方が「強」で、片方が「弱」という項目は、特に気をつけて見てあげたい項目です。自分は得意でも、我が子は不得手かもしれない。自分にはワクワクでも、その子にとってはビクビクかもしれない……。こうやって子供を1人の個人として見てあげることで、その子らしさを活かした対応ができるようになります。




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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。