10月 成熟モデルより挑戦的モデルに刺激を受けた
この月、2014−2015年度の日本カー・オブ・ザ・イヤーが決まった。昨年は本賞に輸入車として初めてVWゴルフが輝き、その勢いをかって今年も国産車vs輸入車の激しいバトルが繰り広げられたが、結局、本賞はマツダ デミオが獲得。デミオと激しいトップ争いを演じたメルセデス・ベンツCクラスがインポート賞に輝いた。Cクラスは、国内ショーレースで三冠を授賞。それだけ完成度の高いモデルだったということだ。個人的には、成熟したモデルよりも挑戦的なモデルに刺激を受けた。というのも、いつにも増してクラシックカーに接する機会が多く、そのたびに、クルマの進化がさほどでもないことを実感していたからだ。
この10月にも、Cクラスの始祖とも言える190Eに試乗したのだが、今なお現役の走りに驚嘆した。20年以上も前の、5ナンバーサイズセダンに、である。190Eの偉大さに触れたあとでは、Cクラスの完成度の高さは当然、と思ってしまったのだ。デミオも、今まで蓄積された技術の最新版という意味では同じだと思った。
それよりも、未来に向けて違うチャレンジを評価したい。BMW i3の評価を最も高くしたのは、そういう理由からだった。
10月には日本のクラシックカーラリーの最高峰、ラフェスタミッレミリアにも51年式フェラーリ340ヴィニャーレスパイダーで参戦。トラブルにもめげず、見事“ぎりぎり”完走を果たした。
11月 ショーファードリブンの権化をオーナードリブン感覚で
誕生月もクラシック三昧ではじまった。月初に、博多~京都を走るラリーニッポンに、53年式ジャガーXK120フィックスドヘッドクーペ(FHC)で参戦した。日本の文化や伝統を古いクルマで再発見するドライブラリー。はじめて九州がスタート地点になったということで、出雲ルートなど見知らぬ土地を走り抜けた。まだまだ日本には素晴らしい場所があると、再認識。こういうラリーもいいと思う。
新型車ではないけれど、ロールスロイス ファントムにじっくり乗れたのもいい経験だった。ショーファードリブンの権化をオーナードリブン感覚で乗る。さすがに使いこなせないんじゃないか、と試乗前には思ったけれど、乗ってみればこれが意外に扱いやすい。巨体さが気にならないのは、自在に動いてくれているという感覚が、しっかりドライバー側に伝わってくるからだ。このあたり、BMWのエンジニアリングも入っているからだろう。
ポルシェ911GT3の劇的なサーキットアタック・エンジンフィールや、メルセデス・ベンツS65AMGクーペの暴力的なエレガンスにも感動した11月だった。
12月 スポーツカーの市場は世界に広がった
一年のしめくくりに、というわけでもないが、ランボルギーニ ムルシエラゴLP670-4SVや、エンツォ・フェラーリ、さらにはポルシェ918スパイダーと、立て続けに時代を代表するスーパーカーに試乗した。けれども、真打ちはコレ、ケーニグセグOne:1だ。アゲーラRをはっきりと上回るパフォーマンスに、ただただ唖然。後コーフンのあまり、その夜はほとんど眠れなかったくらい。伝統を継承しつつ、モダンに進化したフォード マスタング。国内にはまず2.3Lエコブーストを搭載した50YearsEditionを導入、2015年後半に右ハンドル仕様やコンバーチブルなどが販売される予定
2013年末に購入し、一年かけてレストアしてきた、70年式プリマス・クーダAARが、仕上がった。ダークグリーンメタのアメリカンスポーツクーペは、最高のクリスマスプレゼントだ。この感覚が新型モデルから薄れていくのは残念でならないけれど、それもまた、時代の要請ということだろう。