デメリット:定期的な見直しが必要
住宅が再建できる保険金額になっているかが重要
火災保険を使う時とは、本当に困った事態に陥った時。そんな時もお金の心配をせず、安心して生活再建を進めるには、入りっぱなしはNGです。契約後しばらくたっていても、しっかりと役立つ内容になっているかについて、最低限の理解は必要でしょう。
そもそも物価や建築費は変動するので、自宅再建に必要な金額は、新築時(火災保険契約時)と変わっている可能性もあります。再建に必要な金額が新築時より高騰していても、受け取れる保険金の上限額は契約した保険金額まで。つまり自宅再建に3000万円が必要な場合でも、火災保険金額を見直さずに契約当初のままの2000万円にしていると、それ以上の保険金は受け取れないのです。
こうしたトラブルを回避するには、物価変動に対応し、適切に火災保険金額を見直していくことが必要になります。つまり長期火災保険は、契約手続きは1回で済むものの、その後の定期的な見直しは欠かせないのです。
また、ここ20年ほどを見ると、火災保険はユーザー寄りの分かり易い内容へと変わってきています。かつて保険金額の7割までしか補償されなかった水災(水害)は、現在は100%補償されるものが多数ありますし、以前は対象外だった竜巻や雪災等が原因の少額損害も現在では補償対象になっています。一定の補償が束ねられたパッケージ型のほか、契約者が補償をカスタマイズできるタイプも複数登場しています。また2008年に成立した保険法により、硬直的だった損害保険ルールの柔軟化が図られ、契約者メリットは拡大しています。
つまり、今後も優れた火災保険が登場する可能性があるわけで、より適切な補償を確保していくことを考えると、現在の補償を36年間にわたり継続することが“ベスト”とも言い切れないのです。もちろん、優れた商品が登場した時には、契約している火災保険を解約して乗り換えることはできます。ただ前述したように、いったん手続きが終わればつい忘れてしまいがちな人が多いのが火災保険であることを考えると、こうしたメリットを享受できるのは、まず限られた人でしょう。
このように、長期火災保険には保険料割引のメリットがありますが、契約してから時間が経っても実効性のある補償を受けるためには、見直しに手間がかかります。一方、10年までの短い契約では、保険料割引は限定的ですが、契約更新により強制的に見直しをする機会がやってくるため、実効性のある補償を確保しやすいメリットがあります。本当に困った時の火災保険だからこそ、保険料の安さだけでなく、補償の実効性をより重視して検討することが大切です。
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