ローソンの専用端末でアマゾンの通販が可能に
あくまで本業強化にこだわるセブンイレブンと、異業種との連携に活路を見出したいローソン。一見、同じように店舗集客に腐心しているように見える両社ですが、戦略的にはまさに好対照と言える道を歩んでいるのです。
違いが鮮明になったリーダー戦略とチャレンジャー戦略
なぜ両社はこんなにも戦略が異なるのでしょうか。競争地位別戦略の考え方がそこには存在するのです。業界1位のセブンイレブンと2位のローソンは、業界におけるリーダーとチャレンジャーの関係にあります。通常、チャレンジャー企業はリーダーと同じ戦略を取っていたのではシェアはなかなか縮まらないと言われています。そこでチャレンジャーは一般的に、低価格戦略などによりリーダーとの差別化を明確化して顧客の取り込みをはかります。しかしコンビニの場合には、ビジネスモデルの基本が定価販売であり、価格のダンピングは24時間営業のコストを吸収できなくなるリスクがあるため、低価格戦略は取りにくいのです。
すなわちローソンは、価格以外の部分でリーダーであるセブンイレブンとの差別化をはかる戦略に打って出た。成城石井の買収やアマゾンとの提携は、玉塚社長曰くの「オープンプラットフォーム」戦略の先鞭であり、ここに来ての戦略的相違の鮮明化は、ある意味セブンイレブンに対するローソンの業界覇権をめぐる宣戦布告であるとも言えるのです。
業界1位を行くセブンイレブンはまさに王道を歩むべく、ドーナツ戦略による垂直展開で本業の強化をはかり、それを追う立場の2位ローソンはセブンイレブンとの差別化を狙って異業種との連携による水平展開拡充に一層注力する。コンビニ業界の今後の覇権争いは、競争地位別戦略のケーススタディとしても大いに注目したいところです。