禁煙できない原因は意志の弱さではなく「ニコチン依存症」という病気
禁煙にチャレンジして挫折してしまった人は、「また禁煙に失敗してしまった……やっぱり意志が弱いからかな?」と落ち込んでいませんか?
禁煙に失敗するのは、意志が弱いからではありません。それは、「ニコチン依存症」という病気のせいなのです。喫煙者の約7割がニコチン依存症であるという統計もあります。
タバコの煙に含まれるニコチンは、麻薬にも劣らない依存性をもっているといわれています。あのオバマ大統領でさえ、何度も禁煙に失敗しているのです。意志の力だけで、タバコをやめるのはホントに難しいものなのです。
あなたは「ニコチン依存症」?スクリーニングテストですぐ判定!
では、あなたの「ニコチン依存症」の可能性はどうでしょうか?スクリーニングテストで、判定してみましょう。ニコチン依存症スクリーニングテスト「TDS」
問1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
問2. 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
問3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
問4. 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか。(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃の むかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
問5. 問4 でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
問6. 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
問7. タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
問8. タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
問9. 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
問10. タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。
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「はい」を1点、「いいえ」を0点、質問に該当しない場合は0点として計算し、5点以上をタバコ依存症である可能性が 高いと診断します。
このスクリーニングテストでは、タバコ依存症になっている人の95%が5点以上を示し、タバコ依存症でない喫煙者の81%が4点以下を示します。 また、得点が高い者ほど禁煙成功の確率が低い傾向にあるとされています。
<日本循環器学会「禁煙治療のための標準手順書」を基に作成>
いかがでしたか? 5点以上の方は「ニコチン依存症」です。
「ニコチン依存症」に効果がある治療法とは
麻薬中毒者は麻薬がきれると禁断症状がおきます。それと同じように、ニコチン依存症になると、ニコチンがきれることで、イライラなどの禁断症状(離脱症状)がおきるのです。従来のニコチンガムやニコチンパッチ(ニコチンを含んだ皮膚に貼る薬)は、タバコの代わりにニコチンを補給することでイライラなどのニコチン切れ症状を軽くします。しかし、タバコの代わりにニコチンを補給しているだけなので、ニコチン依存症の根本的な治療にはなりません。
ニコチンを含まない禁煙治療の薬は、禁煙外来で処方してもらうことができます。日本ではチャンピックスという商品名で知られているかもしれませんが「バレニクリン」という飲み薬です。この薬は、ニコチンと似たような快感物質を出すことで、イライラなどのニコチン切れ症状を軽くするほか、タバコをおいしいと感じにくくする作用があります。通常1日2回の内服で12週間、5回の通院で終了です。12週間継続すれば、依存症は克服できます。
適用条件がありますが、禁煙治療は健康保険を使って受けることが可能です。1日1箱タバコを吸う方なら、タバコ代より、禁煙治療を受けた場合の自己負担額のほうが安くなるという計算もあります。
禁煙治療はタバコ代より安いともいえます!(ファイザー製薬のホームページより)
タバコをやめられないのは、意志のせいではなく、「ニコチン依存症」という病気のせいです。「ニコチン依存症」と診断されたら、「禁煙外来」で治療しましょう!
■参考:保険適用の条件(すぐ禁煙.jp)