一念発起して一年半、中国に留学して語学力を上げる
中国語を使って仕事をしてみたい。中国語を学んでいれば誰もが一度は考えるのではないでしょうか。そんなみなさんのために、今回は台湾の出版社で編集者として働いている二瓶里美さんにお話を伺いました。Q:二瓶さん、こんにちは。現在台湾で編集者としてご活躍されている二瓶さんですが、中国語をどのように学び、台湾に行かれることになったのでしょうか。
二瓶里美さん(以下「二」):中国語との出会いは、大学時代です。専攻で学んではいたのですが、周囲の学生と比べると、そこまで熱心ではなかったように思います(笑)。しかし、その後短期語学研修で北京に行く機会があり、それから火がつきました。当時の北京はオリンピック前ということもあり、どこか懐かしい感じと、これから変わっていく何かとが共存した不思議な雰囲気があって、とても魅かれました。
Q:たしかに、当時の北京にはノスタルジーを感じます。では、その後長期で中国へ行かれることはありましたか?
二:大学を卒業後、しばらく商社で働いて貯金をして、一年間上海に、半年天津に、それぞれ留学しました。そこで中国語をブラッシュアップ、帰国しました。
チャンスは自分でつかみとる努力を
Q:帰国後はどのような状況だったのでしょうか。二:少しでも中国語に触れたい、使いたいと思って仕事探しを始めました。そして、語学のテキストが作られる場所にいれば中国語に触れられるだろうと考え、語学関係の出版社、アルクに入社しました。しかし、そこでの業務は、中国語を使う環境にはなかったのです。そこで、部署異動できるタイミングで「『中国語ジャーナル(以下「CJ」)』の編集部に行きたい!」と声を上げ続け、二回目で編集部への異動がかないました。
Q:パワフルですね!編集部に異動されてからは、いかがでしたか?
二:編集部への異動希望を自ら出しておきながら、身の程を知らずに初めての業界に入り、あまりにも仕事のできない自分が不甲斐なく感じる日々の連続でした。しかし、周りのスタッフのサポートを得られたことで、少しずつ業務にも慣れ、自分のやりたいことをできるようになってきました。中国語、というとどうしても大陸に目が行きがちだと考え、台湾関係の連載を担当したり、私のように勉強が長続きしない読者のために、リズムを使った中国語学習法のコーナーを担当したりしました。
Q:はい、ガイドも熱心な読者でしたから、そのコーナーは存じております。ちょうど「疲れたな」と思うところにリズムのコーナーが入ってくるのですよね。『CJ』がなかったら、今の自分はなかったと心底思います。
二:そうおっしゃっていただけると編集者冥利に尽きます!
<参考>リズムを使った中国語学習法
「チャンツ」という、リズムに乗って流れてくる単語や短文を、それらが発音されないブランクに復唱する練習法。中国語のまま復唱しても、日本語に訳しても効果的です。
苦労が糧となって今がある
Q:お仕事で中国語を使う中、何か困ったこと、苦労したことなどはありますか?二:ええ、山ほど(笑)。一番は、ある台湾のアイドルに中国語でインタビューをするという仕事でした。幸い相手の方がとても親切な方だったので、こちらが少し聞くとたくさんお話ししてくださったりして、事なきを得たのですが、思い出すと今でも冷や汗ものです。
Q:中国語でインタビューとは、非常に高度なお仕事ですね。想像するだけで恐ろしいです。そこから今のお仕事までの過程をお伺いしてもよろしいですか?
二:『CJ』が残念ながら休刊になることが決まり、編集部とは関係のない部署への異動が決まりました。その後、身の振り方を考えていたとき、タイミングよく台湾の出版社で人を探しているというお話をいただきました。『CJ』のときから台湾には興味がありましたし、渡りに船と退社を決意したのです。
次のページでは、台湾に移られてからのお話を伺います!