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J-POPのジャズメンおススメ三選 昭和編(3ページ目)

1980年代に生まれたJ-POPという呼称。それまでニューミュージックと呼ばれていたジャンルが普通の歌謡曲との違いを表明したものです。洋楽に負けない日本発のおしゃれな音楽を目指したJ-POPには、多くのジャズメンがサイドメンとして参加しています。今回は、その中でもJ-POPの黎明期、昭和のJ-POPに参加したジャズメンをご紹介します。

大須賀 進

執筆者:大須賀 進

ジャズガイド

長谷川孝水「日々の泡」より「サーカス列車」ピアノ伴奏 市川秀男 

 

日々の泡

日々の泡

長谷川孝水(はせがわたかみ)と言っても知らない人がほとんどでしょう。1983年にエピックソニーからこの作品一枚だけのレコードを出したまま、業界から姿を消した幻の女性シンガーソングライターです。

何年か前にCD化がやっとされましたが、現在でも、ほとんど入手が困難な状態のアンダーレイテッドな存在です。

その幻の長谷川のアルバム「日々の泡」は、日本を代表するジャズメンであるピアノの市川秀男やベースの稲葉國光が参加した、ジャジーで独特の世界観に満ちた作品です。

特にこの曲「サーカス列車」における市川と稲葉のサポートには目を見張るものがあります。二人のジャズメンの存在が長谷川の音楽世界の構築に多大なる影響を与えているのは明らかです。

これはベテランの市川と稲葉のフレキシビリティというのはもちろんですが、それよりも二人の持つジャズの世界に、長谷川の音楽がベストマッチしているということです。

長谷川の世界観はJ-POPというよりも、むしろジャズそのもの。オリジナルのジャズともいえる独特の雰囲気を持つ長谷川は、その音楽性ゆえに歌謡曲的なビッグヒットとは無縁だったとも言えます。

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その長谷川を引き立てた、ピアニストの市川秀男が、単身来日したアルトサックスのフィル・ウッズの伴奏を務めた演奏がコチラ。
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「フィル・ウッズ&ザ・ジャパニーズ・リズム・マシーン」


ここでの四曲目「スピークロウ」では、本格派フィル・ウッズに一歩も引かない市川の快演を聴くことができます。

市川の奏でるイントロは、マイルス・デイヴィスの「マイルストーンズ」からの引用。その軽妙なイントロに続いて繰り広げられる快調なフィルのサックス。そして、フィルのソロの後に続く市川は、大暴れと表現したいほどの快演ぶり。胸のすく演奏を繰り広げます。

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フィル・ウッズと言えば 稀代の名演と称えられる「素顔のままで」

フィル・ウッズは、もちろんジャズの世界では知らない人はいない大御所です。モダン・ジャズの黎明期より活躍し、近年に至るまで第一線で活躍していたジャズ・リジェンド(2015年9月29日に惜しまれながら亡くなりました)。そのフィルは、実はポップスの世界でも、有名人です。

ビリー・ジョエルの大ヒットアルバム「ストレンジャー」へ参加したことで、フィルの名前は、世界中に知れ渡りました。その演奏がコチラ。
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「ストレンジャー」

ビリー・ジョエルが世界的に有名になった大ヒットアルバム「ストレンジャー」。その「素顔のままで」におけるフィルのサックスソロは、ジャズメンが参加したポップス史上においても、それらを代表する名演と称えられる超一流のもの。

ここでは、フィル得意のビバップ・フレーズは姿を現さず、即興とは思えない美しいメロディで、ビリーの世界観を後押ししています。

この曲は、キーが「D」で、アルトサックスで言うと「B」になり、普段ならばジャズではあまり演奏しないキーになっています。唄伴をやると、こういったことはよく起こりますが、そこはさすがのトッププロ。なんら問題ないどころか、後世にまで残る名演にしてしまうのだから驚きです。

もしかしたら、むしろ難しいキーが、普段使っているジャズのフレーズではなく、逆に素直に歌うことに作用したのかもしれません。いずれにしても、ジャズメンとポップスの最高の融合と言えます。

今回のJ-POPのジャズメン、いかがでしたか?もちろんジャズメンがポップスで活躍するのは日本に限りません。世界中の音楽で、ジャズメンが活躍しています。また機会を見て、ポップスで頑張るジャズメンをご紹介したいと思います。それではまた、次回お会いしましょう!

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