フラット35利用者の世帯年収は600万円割れ
日本銀行の追加緩和による円安・株高の勢いは時の経過につれ鈍化しつつありますが、長期金利への影響は多大なるものが続いています。2014年11月の最終週には0.420%まで低下したでのですが、この水準は当面破られることはないと言われていた2003年6月11日の0.435%を下回る水準なのです。過去数年、年末から年始にかけて長期金利はやや上昇傾向にあったのですが、2014年は追加緩和が効いていることから例年とは違った動きになる可能性が高いと思われます。日本銀行が国債の買いの手を緩めない限りは、2013年4月4日に付けた0.315%という最低の長期金利を下回る可能性すら否定できなくなっているのです。
超低金利は資産運用にはマイナスですが、住宅ローンを始めとする借り入れにはプラスに働きます。ただし、住宅金融支援機構が調査した2014年度上半期フラット35利用者調査によれば、世帯年収は591万円と初めて600万円を下回ったという結果が公表されています。フラット35は全期間固定金利なので超低金利は歓迎すべきことですが、住宅ローンの返済は何十年も続いていくのです。将来を見据えて、住宅ローンの返済プランを考えていただきたいと思います。借りすぎには気をつけたいところです。
過去最低金利更新は5ヵ月連続に伸びる
長期金利の低下基調が続いていることから、2014年12月のフラット35の融資金利は5ヵ月連続で過去最低を更新しました。物件の90%以内の融資では、主力の返済期間21年以上の融資金利は11月より0.05%引き下げられ1.56%になりました。先月、1.60%割れが視野に入りつつあると述べましたが、早くも1.60%割れを達成してしまいました。12月の融資金利1.56%はフラット35取扱い金融機関の最低金利。他の取扱い金融機関も概ね0.05%程度は融資金利を引き下げています。
物件価格90%以内、返済期間20年以内の融資金利も11月より0.05%引き下げられ1.29%になっています。2014年11月に発行された20年国債の表面利率が1.40%。仮に1.29%で資金を借りてきて、20年国債を購入すれば利ざやが取れるのです。フラット35の融資金利は、驚くほどの低くなったと言っても過言ではありません。
余談ですが、企業融資では10年固定で0.50%前後の金利で資金調達できると聞いたことがあります。
一方、民間金融機関の固定金利選択型の金利は、長期金利が低下基調にあるにもかかわらず、その動きを反映しない状況になっています。12月の融資金利は、固定期間5年以上からが一部の銀行では0.05%程度引き上げ、ほとんどは11月融資金利と同一という動きになっています。
主力の10年固定選択型の最優遇金利を見ていくと、みずほ銀行は1.25%(0.05%引き上げ)、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行は1.25%(11月と変わらず)、りそな1.30%(11月と変わらず)、三井住友銀行は1.00%(11月と変わらず)となっています。