演出家によって作品はガラリと変わる。
同世代のトムさんが『タイタニック』をどう料理するのか
バレットの存在感が光る。
演出は難しいものですけどね。そのグレンさんが手掛けた『タイタニック』という意味で、今回は気が引き締まります。
『タイタニック』の台本を読んで思ったのは、『ブラッド・ブラザーズ』とは違い、『タイタニック』は実際の史実を元にした話だということ。それも死と直面し、乗客乗員ひとりひとりの思いを描く群像劇であるということ。僕が演じるバレットにしてみれば、労働者としての不満や悔しさもあったでしょうし、地元で待つ恋人への思いもある。実直で情熱的な人間だろうと思います。その彼が、船が氷山にぶつかった後の事故の混乱の中でどう行動するのか。トムさんがそのあたりをどのように演出なさるのか。
グレンさんは70歳を過ぎた、百戦錬磨の演出家でしたが、『タイタニック』という同じ作品を、今回は僕と同年代である30歳のトムさんがどう料理するのか、とても期待しています。
美青年バレットの面影。
確かに。僕に演劇って面白いんだと思わせてくれた2人は、グレン・ウォルフォードさんと『宝塚BOYS』でお世話になった鈴木裕美さんです。裕美さんは演出する時、よりストレートに言いますね。裕美さんは稽古場での役者の動きで、自分がわからないと「なぜ、こうやって動いたの?」と聞き、その理由が役者のアプローチとして成立しているものであれば、「なるほど!わかった、それを活かす方法でやるわ」とOKを出してくれる。演劇に真摯な姿勢は、グレンさんと似ているかも。トムさんからもきっと、いい刺激をいただけるのではないかな。
【公演情報】
ミュージカル『タイタニック』
2015年3月14日(土)~29日(日) Bunkamuraシアターコクーン
2015年4月1日(水)~5日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ