漢方・漢方薬

銀翹散(ぎんぎょうさん)

漢方ではカゼひとつとっても、症状やタイプによってさまざまなクスリで対処ができます。今回は、インフルエンザのような熱っぽい症状が強い感冒や、のどの痛みやともなう頭痛などがある場合にオススメの漢方薬「銀翹散」です。葛根湯との違いもご紹介します。

杏仁 美友

執筆者:杏仁 美友

国際中医師 / 漢方・薬膳料理ガイド

「銀翹散」はどんな人・どんな症状にいいの?

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「インフルエンザにいい漢方ってあるの?」の記事では、板藍根も紹介

発熱、頭痛、のどの渇き・痛みなどを伴う感冒の初期に。

「銀翹散」の効果

熱っぽいカゼ、インフルエンザ、急性扁桃炎、麻疹、日本脳炎の初期症状に。

「銀翹散」に入っているもの

連翹(モクセイ科の果実)、金銀花(スイカズラ科の花つぼみ)、薄荷(シソ科の葉)、牛蒡子(ゴボウの種子)、荊芥穂(シソ科の花つぼみ)、淡豆鼓(ダイズの種子を蒸して発酵加工したもの)、淡竹葉(ササ草の地上部)、芦根(イネ科の根茎)、桔梗(キキョウの根)、甘草(マメ科の根およびストロン)

「銀翹散」が合わない人

悪寒が強く、水っぽい鼻水が出るような感冒には不向きです。なお、カゼの具体的な症状別の話はおまけのエピソードにて。

「銀翹散」の飲み方などの注意点

飲む時間
一般的には食事と食事の間の空腹時、食事をする1時間前など、お腹が空で胃に吸収されやすい時期に飲みます。胃腸が荒れやすい人には食後、排便をうながすタイプの漢方には、空腹時の服用を勧める場合もあります。なお、食間に飲み忘れたときは、食後でいいので飲みましょう。

「水」or「白湯」
症状によって冷たい水で飲むほうが効果的な場合(その反対も)もありますが、基本的には生薬を水で煎じた「煎じクスリ」の場合は、人肌に冷まして飲みます。生薬の有効成分を抽出して乾燥・加工した「エキス剤」の場合、お湯に溶かしたり、水と一緒に飲んでください。

「銀翹散」の副作用

体質や症状に合わない、西洋薬との併用、アレルギー体質など場合、不快な症状や副作用が出る場合があります。ちょっとおかしいな、と思ったらすぐ服用をやめ、漢方の専門家や処方してくれた医師に相談しましょう。

「銀翹散」が買える場所

漢方薬局や病院、診療所、ドラッグストアなどです。

代表的な発売元:(アイウエオ順)
  • クラシエ薬品、松浦漢方など

「銀翹散」に配合されている生薬の効能

連翹と金銀花が主薬となり、とくに上半身にこもった熱を冷まし、感冒の邪気を追い払います。薄荷、牛蒡子、荊芥穂、淡豆鼓、淡竹葉が、軽い発汗作用や消炎、解熱作用で主薬をフォローします。

芦根、桔梗は肺の熱を冷まし、淡竹葉といっしょにのどの渇きをいやします。甘草はクスリの調和とともに、のどの痛みを緩和する作用も兼ねています。

なお、ここで注目したいのは荊芥の作用です。銀翹散は芳香性の高い花や葉などを多く使用し、清熱解毒の効果が高いのですが、荊芥は温性。寒涼性ばかりの生薬ではなく、カラダを温める荊芥を入れることで発汗を促進させ、感冒の邪気を追い払う作用を高めています。

「銀翹散」のおまけのエピソード

カゼにはいくつかのタイプがありますが、大きく分けて、ぞくぞくっと寒気の強いものを風寒タイプ、熱っぽい症状が強いものを風熱タイプといいます。

風寒タイプの代表薬が、葛根湯麻黄湯小青竜湯。そして風熱タイプの代表が銀翹散です。それぞれ特ちょうがあり、ぞくぞくっとするカゼの初期症状で首や肩のこわばりがあれば葛根湯がよく、悪寒がひどく水っぽい鼻水が止まらないなんてときは小青竜湯など、使い分けが必要です。

また、のどがなんとなく痛い、乾燥しているなんてときは、気管支を潤し、カラダの機能を回復させる麦門冬湯を飲んだり、甘草のかけらを口に含ませるだけでも症状が落ち着くこともあります。なので、これってカゼかな?と思ったら「とりあえず総合感冒薬」の前に、自分の症状を確かめてから対処するといいでしょう。


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