正反対の二人の少年が活躍する2作品
『6才のボクが大人になるまで。』(2014年度)6才の少年メイソン(エラー・コルトレーン)を中心に母のオリヴィア(パトリシア・アークエット)姉のサマンサ(ローレライ・リンクレイター)と母と離婚した父(イーサン・ホーク)との日常を、12年間にわたって描いた少年の成長と家族の物語。
映画が始まったとき6才だった少年が、思春期を迎え、自立していく……。そのプロセスには母の再婚、離婚、父との関係、恋、将来の夢などが盛り込まれていますが、メイソンの6才から18歳までの成長の記録でもあるのです。
演じるエラー・コルトレーンは6才の頃の撮影はあまり覚えていないというのが12年の歳月を物語ります。フィクションの人物なのにドキュメンタリーのような味わいを残す映画になったのは、エラーが12年にわたり、メイソンを演じる役者として成長する姿をもカメラが捉えたからでしょう。
演技がうまい子役はたくさんいるけれど、これほどまでに生々しく役を生きた子役はいないのでは? この映画でしか繊細な少年時代のエラーは見られません。子役のリアル成長映画として必見です。
2014年11月14日公開
監督:リチャード・リンクレイター 出演:パトリシア・アークエット、エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレイター、イーサン・ホーク
(c)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.
『天才スピヴェット』(2014年度作品)
10歳のT・S・スピヴェット(カイル・キャトレット)は、天才少年。そんな彼の元にスミソニアン博物館から、スピヴェットの発明品が栄えある賞を受賞したとの知らせが。彼はひとりで授賞式に向かうけれど、行く先々でトラブルが……。賢くかわいいスピヴェットのシュールな冒険譚。
リアルな『6才のボクが大人になるまで。』とは正反対の3Dファンタジーで主役のスピヴェットを演じるカイルは、本当の天才少年。6ケ国語を話し、3年連続総合格闘技の世界チャンピオン! そんな凄い経歴がありながら、シュールな世界観にもピッタリはまる愛らしさがたまりません。コミカルな作風ですが、スピヴェットは家族の中でも浮いた存在で孤独。でもカイルの前向きで軽やかな少年っぷりが映画を明るくしています。
佇まいが賢く品があるカイルは、まさにスピヴェットを演じるために生まれた少年。「このまま清らかに美しく育ってほしいなあ」と願うばかりです。
2014年11月15日公開
監督:ジャン=ピエール・ジュネ 出演:カイル・キャトレット、ヘレナ・ボナム=カーター、ジュディ・デイヴィス、カラム・キース・レニーほか
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