果物と野菜をしっかり食べている人はメンタルも元気?
果物や野菜を食べる人ほど、精神面でも健康だという研究報告がありました。
この研究では、精神的健康が高い参加者の33.5%は果物と野菜を1日に5ポーション以上食べていましたが、1ポーション未満しか食べていなかったのは6.8%。精神的健康度が高い人の31.4%は、3-4ポーションを食べ、28.4%が1-2ポーションでした。
※1ポーション:1皿、1人前(約80g前後)
詳しい内容は割愛しますが、この結果からは次のように考察されました。
この研究では、野菜や果物を食べることによって、どのような栄養成分がどのように作用し精神的な健康に役立つのかまでは明らかにしていません。「本データは果物と野菜の摂取量が多い人ほど、精神的幸福度が低くなる可能性は低いことを示している」。
「本知見は、果物や野菜の摂取量は一般集団における身体的健康だけでなく、精神的健康の原動力として重要な役割を果たしている可能性を示唆している」
野菜や果物に含まれる栄養成分が影響?
例えば脳内神経伝達物質「セロトニン」は、精神を安定させる働きがあり、うつの人の脳にはセロトニンが少ないなどの傾向があります。セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンを原料に合成されます。トリプトファンは、チーズや肉類、納豆、たらこ、赤身魚、ナッツ類などに含まれます。しかし食品からトリプトファンを摂取しても、他のアミノ酸も同時に脳に運ばれるので、トリプトファンが十分に届いてセロトニンになるかはわかりません。
また、トリプトファンからセロトニンを合成するにはビタミンB6やナイアシン、葉酸などのビタミンB群や、鉄やマグネシウムなどのミネラルも必要です。
その他にも、葉酸や抗酸化ビタミンも、うつに対して予防的に働く可能性があるのではないかという研究報告があります。
こうした栄養成分は、野菜や豆類、果物などに含まれていますので、野菜や果物を摂ることが役に立っているのかもしれません。
単独の栄養成分だけでなく、健康日本食も注目?
これまでは、こうした単独の栄養成分とメンタルヘルスの研究が中心でしたが、食事との関連性についての研究も、いくつか報告されています。国立国際医療研究センター を中心とするグループの報告で、「動物性食品パターン」と「洋風朝食パターン」と比べて、野菜や果物、大豆製品、きのこ、緑茶などを多く摂取する「健康日本食パターン」ほど、抑うつのリスクが低下する傾向にあると報告しています。ただし、野菜や果物とメンタルヘルスについては、その関係性が示されたにすぎません。どのような栄養成分がどのように働くのかということは、どの研究においてもまだまだ研究の途中段階に過ぎず、更なる科学的根拠が必要な段階です。