自動車を運転するための「運転免許証」について

運転免許証の取り消し対象となる病気とは

交通事故を起こさないために一定の能力は必要です

免許とは本来、禁じられている事に関して、一定の資格を与えることで許可することを意味します。つまり運転免許の場合も、道路で自動車を運転することを禁止し、免許制度によって例外的に許可しているわけです。その免許制度を定めているのが道路交通法で、条文132条からなっています。また、道路交通法は、交通事故を防ぐために改正されることが多い法律で2020年6月には、いわゆる「あおり運転」が厳罰化されました。

道路交通法の第1条では法の理念が書かれていて、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする」とあります。自転車も対象になりますが、免許制度から考え、今回は二輪車を含む自動車について説明していきます。

<目次>  

運転免許の取り消し、停止などの対象になる病気

道路交通法第103条には、
免許(仮免許を除く。以下第百六条までにおいて同じ)を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、その者が当該各号のいずれかに該当することとなった時におけるその者の住所地を管轄する公安委員会は、政令で定める基準に従い、その者の免許を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて免許の効力を停止することができる
とあります。その各号ですが、病気との関連があるのが第1号、第1号の2、第3号です。
(一)次に掲げる病気にかかつている者であることが判明したとき
・イ 幻覚の症状を伴う精神病であつて政令で定めるもの
・ロ 発作により意識障害又は運動障害をもたらす病気であつて政令で定めるもの
・ハ イ及びロに掲げるもののほか、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの
(一の二)認知症であることが判明したとき
(三)アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者であることが判明したとき
病気としては、統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症、躁うつ病、睡眠障害などが挙げられますが、すべてにおいて免許取り消し・停止になるわけではありません。政令に定めるものとされていますので、そちらを見てみましょう。

■統合失調症
自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係わる能力を欠くこととなるおそれのある症状を呈しないものを除く

■てんかん
発作が再発するおそれがないもの、発作が再発して意識障害及び運動障害をもたらされないもの並び発作が睡眠中に限り再発するものを除く

■再発性失神
脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれのあるもの

■無自覚性の低血糖症
人為的に血糖を調節することができるものを除く

■躁うつ病
躁病およびうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係わる能力を欠くこととなるおそれのある症状を呈しないものを除く

■重度の眠気の症状を呈する睡眠障害

■このほか、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係わる能力を欠くこととなるおそれのある症状を呈する病気

非常にわかりにくいのですが、どんな病気であれ、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断または操作のいずれかに関わる能力を欠くおそれのある症状が見られれば、免許の取り消し、停止になります。その中で、頻度の多く、おそれの高い病気が挙げられています。

運転免許に関わる点では、まずは医師の診断を必要とし、医師から運転しないように指導することになります。認知症など、患者への指導が難しい場合は、家族などの協力も必要です。自主的に運転をしない、または免許を返納が望ましい場合もあるでしょう。

それでも患者が運転を続けようとしたときにはどうなるのでしょうか?
 

公安委員会への届け出で取り消し・停止なども

各都道府県に公安委員会が設置されています。警察本部内または都道府県庁内があります

各都道府県に公安委員会が設置されています。警察本部内または都道府県庁内があります

自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかにかかわる能力を欠くおそれのある症状をもつ患者が運転免許を持っていて、現に運転していることが判明している場合、交通事故を起こす危険性が極めて高く、患者は医師から運転をやめるように十分に説得されることになります。

しかし、それでも運転していることが判明すると、医師は所定の書類を公安委員会に届け出ることができます。公安委員会に届け出ることにより、免許の取り消し、停止などが行われることがあります。

正確に公安委員会に申告しないで、運転に支障をきたす症状を故意に隠す、あるいは虚偽の申告をして免許を取得、更新した場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金になる可能性があります。
 

てんかん患者の運転免許

「発作が再発するおそれがないもの、発作が再発して意識障害及び運動障害をもたらされないもの並び発作が睡眠中に限り再発するもの」とは、どのような状態でしょうか?具体的に、政令で決められています。

■運転可能な場合
  • 発作が過去5年以内に起こったことがなく、医師が「今後、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
  • 発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後、x年程度であれば、発作が起こるおそれがない」旨の診断を行った場合
  • 医師が、1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後、症状の悪化の恐れがない」旨の診断を行った場合
  • 医師が、2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後、症状の悪化のおそれがない」旨の診断を行った場合
薬の内服の有無にかかわらず、発作がなく、安定している状態と言えます。その意味で服薬することで発作がなければ、運転は可能です。ただし、薬を減量している場合は、悪化のおそれがないと言えないので、運転は可能にならないとされています。

ただし、大型免許と第2種免許は取得できません。また、運転を職業とする仕事は基本的に勧めることできません。

というのも、自動車の運転については、ある一定の能力が必要だからです。その能力に欠ける場合は、交通事故を起こし、加害者にも被害者にもなってしまう可能性があります。事故が起こってからでは遅いのです。

現時点では、人は老化による能力の低下も避けられません。高齢になれば、自分は大丈夫と思っていても、危険な運転をしてしまうことがあります。その意味では病気以外でも、運転免許の返納や、更新をしないという判断も必要になるかもしれません。

交通事故を起こさないためにも、自分の状態を客観的に判断して、安全な自動車運転を心がけていたいものです。

また、道路交通法は改正されることが多いので、こまめにチェックしておきたいところです。2019年12月1日の改正では、携帯電話使用等(交通の危険)の罰則は1年以下の懲役又は30万円以下の罰金で、基礎点数6点減点になり、反則金だけでは済まなくなっています。

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