一酸化炭素

一酸化炭素は炭素と酸素が1つずつ結合した気体で、化学式ではCOと表記します。分子の重さにあたる分子量が28.01と、28.8の空気よりわずかに軽く、無色・無臭で燃える気体です。燃えることで酸素と結合して、二酸化炭素になります。一酸化炭素は二酸化炭素より不安定で、酸素と結合しやすいという性質があり、体にとって有害なガスになりやすいのです。

一酸化炭素の毒性

全身に酸素を運んでいる細胞が赤血球です。赤血球には酸素を運ぶためのタンパク質であるヘモグロビンが含まれています。一酸化炭素は、酸素より250倍もヘモグロビンに結合しやすいために、酸素とヘモグロビンとの結合を阻害して、一酸化炭素ヘモグロビンとなります。そのことで、赤血球は、酸素を全身に運ぶことができなくなってしまい、全身の組織では酸素不足になってしまうわけです。

一酸化炭素中毒の原因

燃焼

燃焼時に一酸化炭素が発生する可能性があります

天然ガスなどの燃料用ガス、ガソリンなどの石油、炭、練炭などには炭素が含まれており、完全に燃焼することで二酸化炭素が発生します。しかし、不完全燃焼の場合は一酸化炭素が発生します。

身近な発生源としては、 窓を閉め切った状態での石油やガスストーブ、 自動車の排気ガス、ガス焚きのお風呂、ガス湯沸かし器やガスレンジの燃焼などが挙げられます。

さらに、火事発生時であったり、炭鉱事故などでも大規模に一酸化炭素が発生します。

一酸化炭素のある環境状態による症状

一酸化炭素が300 ppm以下では軽度の頭痛程度で済みますが、400 ppm以上で数時間にわたって曝露されると心臓への負担や呼吸困難が出始め、1000 ppmを超えるとかなり重症な症状が出てきます。5000 ppmでは5分で死に至ります。

一酸化炭素中毒の症状

周辺の一酸化炭素の量に応じて症状は変わってきます。また、ヘモグロビンに一酸化炭素がどれだけ結合しているかどうかで症状の程度を示します。結合の割合はCOHb濃度と呼び、%で示します。COHb濃度と症状を以下に示します。

  • 0~10%
    無症状
  • 10~20%
    軽い頭痛、皮膚の血管が拡張して肌が赤い
  • 20~30%
    頭痛、倦怠感
  • 30~40%
    激しい頭痛、力が入らない脱力、めまい、視力低下、吐き気、嘔吐
  • 40~50%
    体の虚脱、過呼吸、脈拍数が多くなる頻脈
  • 50~60%
    失神、Cheyne-Stokes呼吸(小さい呼吸から、徐々に一回の呼吸する量が増えて、大きな呼吸となったあと、次第に呼吸が小さくなり、一時的に呼吸停止となる、という周期で繰り返します。この周期は30秒から2分程度で繰り返されます)
  • 60~70%
    昏睡、心臓拍動が弱くなり、死の危険性が高くなります
  • 70~80%
    血圧の低下、呼吸ができない呼吸不全、死に至ります

心臓の筋肉のダメージがあれば、不整脈も起こします。肝臓や腎臓への機能が低下し、全身の筋肉もダメージを受けます。 さらに、間欠型一酸化炭素中毒と言って、意識が回復してから数日後に、物事を理解する見当識の障害、意識とは異なる動きをするなどの神経症状が出てきます。

一酸化炭素中毒の検査

COオキシメーターという機械で血液中の一酸化炭素中毒に結合したヘモグロビン(COHb)の濃度を測定します。低酸素による組織のダメージがあれば、組織からの酵素が血液中で高くなります。AST、ALT、LDH、CPKと呼ばれる酵素が血液中で高くなります。特に筋肉のダメージでは、CPKの値が高値になります。

一酸化炭素中毒の治療

酸素

酸素投与が治療では大切になります

中毒の基本は、中毒物質をできるだけ早く体から出すことです。一酸化炭素中毒は、組織の低酸素状態になっており、一刻も早い処置で体内の一酸化炭素を除くことになります。

まずは、不完全燃焼していて、一酸化炭素が発生している場所から移動したり、解放することが大切です。

軽症であれば、新鮮な空気の下で安静に保ちましょう。下手に動くと、酸素を組織が消費してしまいます。

COHb濃度が10~20%の中等症なら、100%酸素を吸入させます。

COHb濃度が20%以上の重症であれば、高圧タンクによる高圧酸素治療が必要になります。通常は大気圧の2倍の2気圧で1時間、酸素のあるタンクに入ります。

減圧病(潜水病)の原因・症状・治療 を参照にしてください。

一回でなく、1日1~2回で数日繰り返すこともあります。

高圧タンクが無い場合は、気管内挿管で、100%酸素を人工呼吸器で送り込みます。

身近に起こりうる一酸化炭素中毒の予防としては、暖房器具では不完全燃焼に注意して、換気を十分にすることです。また火事の場合は、速やかに避難することが大切です。


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