本場長沙から上海へ進出した、湖南料理の人気店
各店舗でインテリアの雰囲気が異なります。「凱徳龍之夢虹口広場」というショッピングモール内のお店には、9人席のテーブルが18卓あります。撮影(全て)/長舟真人
新しくできるショッピングモールには必ずといっていいほど湖南料理店が入っていますが、数ある店のなかでも人気と個性が目立っているのが「57度湘」というレストランです。ここが出すのはオリジナルの鉄板焼き式湖南料理。2009年に湖南省・長沙で始まった店で、上海には2011年に進出しました。
ストレス発散に効果的!? スパイシーな鉄板焼き
どれも激辛というわけではありませんが、日本の鉄板焼きだと思って口に入れると、ちょっと衝撃的です。
インテリアはモダンカジュアルな雰囲気。テーブルごとに鉄板が置かれています。目の前で肉や海鮮、野菜を調理するスタイルは日本の鉄板焼きと同じですが、出来上がる料理はまったくの別物。決め手になるのは「辣(ラー)」と表現されるストレートな辛さ!
たとえば、牡蠣の蒸し焼きや川エビ炒めには調理の仕上げにニンニクと唐辛子をどっさり。田楽のような見た目の「葱焼豆腐」も油断は禁物。豆腐に塗られているのは味噌ではなく香辣醤という唐辛子を使ったタレ。ピリリと舌を刺激し、食べると体が熱くなります。臘八豆という発酵大豆や高菜と炒めた「長沙チャーハン」など、湖南の定番メニューも揃っています。もちろん、対面式なので注文時に伝えれば辛さの加減は調節可能。食材の多くは湖南省から仕入れていますが、なかには洋風や和風の素材をアレンジした一品もあります。
「炒手」はほとんどが湖南省の出身者。
また、きびきびとした動きで仕事をするスタッフたちも特徴的。鉄板で調理するスタッフは「炒手」と呼ばれ、華麗な技でお客さんを楽しませます。さらにこの「炒手」たち、毎晩7時になるとなんと一斉に歌とダンスのパフォーマンスを行うのです! 入社時に相当なトレーニングを受けるそうですが、それにしても調理スタッフが踊りだすとは驚きです。
中国ならではのエンタメな食体験を
午後のアイドルタイムには割引サービスもあります。「57度」とは食べ物を口に入れる際、おいしく感じる温度なのだそう。
このレストランを創業したのは汪△(山へんに争)□(山へんに榮)さんという女性。「美食はエンターテインメント」という信条の下、世界各国の料理を学んできた料理人の夫と協力し、日本や台湾の料理の影響から鉄板焼きと湖南料理の融合を考え出したといいます。メニューの中には「肥牛炒烏冬面(牛肉炒めうどん)」や「銅鑼焼(ドラヤキ)」もあり、実にユニーク。長沙にある本店は面積1714.06平方メートル、鉄板が43台もある、世界で一番広い鉄板焼きの店として知られています。
目の前で炎が! 食事の時間を楽しませます。
スパイスのきいた味わいは正直ジャンクといえばジャンクですが、中国ならではのエンターテインメント感が満載で、友人と行けば盛り上がることうけあい。「食」の時間を楽しむ上海らしい、パワフルな人気レストラン。一見の価値ありです。
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■57度湘(57ドゥーシャン)
住所:上海市西江湾路凱徳龍之夢虹口広場A座6F
TEL:021-5882-5757
営業時間:11:00~15:00、16:50~21:00(月~木曜)、11:00~21:30(金~日曜)
アクセス:地下鉄3号線「虹口足球場」駅より 徒歩1分