キャストは元宝塚トップスターがずらり!
ヴェルマとしてカッコ良く。どこか可愛らしく、しなやかに
——でもショービジネスの世界では、のし上がるという感覚をお持ちの方も多いのでは?その水さんの謙虚さは、宝塚の方だからかな?と感じますが…。それはそうかもしれない。宝塚は夢の花園でしたからね。
——ヴェルマ・ケリーをどう表現したいと考えていますか。
まずカッコ良く。同時に、カッコいい女性の中にある可愛らしさやしなやかさを出していけたらいいな、と。カッコいい女性を演じる時に、決して男役の顔になってはいけないと思うんですよ。だけど男役をやっていたからこそできる、独特のヴェルマにしたいという思いもあります。その匙加減が難しいですね。
映画でキャサリン・セダ=ジョーンズのヴェルマを見たら、男並みにパワフルで潔く力強く、身体もしっかりしている。でも女性なの!みたいなところもしっかりあって。その塩梅が難しいです。
——確かに。ヴェルマは元ヴォードヴィルのスターで、監獄に入ってもマスコミにちやほやされていた存在ですね。ロキシー・ハートが来るまでは。
スター性もそうですし、元ヴォードヴィルのダンサーというところもポイントですね。ヴォードヴィルって日本ではあまり馴染みがない芸だと思うんです。ヴェルマはダンサーらしい見せ場が何曲かあるので、コケティッシュに、ちょっと面白く見せられたらいいですね。面白いんだけど、ヴェルマのカッコ良さをなくさないようにしたいとも思います。
——演じる上で、テーマにしたいことは?
「人間らしく」を一番に考えています。人間が必死になったり、誰かをどうしても説得したい時は言葉で何とか言うのではなく、どうしても!という人間の気迫、本能みたいなところが出てくると思う。そんながむしゃらさを出したいと思うと同時に、ヴォードヴィルのスターだった過去、なぜ彼女はスターでいられたのか、その魅力や人間性を全編を通して、そこはかとなく描きたいです。
——今回、トリプルキャストですが、同役の他のキャストを意識しますか。
トリプルキャストは『ベルサイユのばら』以来ですが、意識する場がほぼなくて。お稽古は実際に組むメンバーとだけでやり、他を見ないので、シングルキャストの時と変わらないですね。ただ、「ALL THAT JAZZ」の振付だけは全員で稽古したので、歌声を聞いて、ああなるほど!と思う所もありました。
——お稽古をしていて、宝塚OG公演らしいなとお感じになりますか。
私はOG公演にはゲスト出演しかしたことがないので、OG公演自体がよくわからないのですが。ただ今回は『CHICAGO』スタイルに乗っ取って稽古しているので、通常のOG公演とは異なるようです。個人個人が『CHICAGO』に選ばれたというプライドを持ち、責任を持ってやっていて、上級生下級生という枠に捕らわれない雰囲気はすごくあります。もちろん、宝塚の暗黙のルールが多々あり、自然とそうなっているところはあります。