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京都に来て良かった!と思える散歩道7選

新幹線を使えば、東京から京都まで2時間ちょっと。いまや、京都は首都圏からの日帰り旅行も楽しめる観光スポットです。たとえ短時間の滞在でも、ここを歩けば「京都に来て良かった!」と思える"京都らしい"風情を味わえる散歩道7選を紹介します。

森川 天喜

執筆者:森川 天喜

国内旅行ガイド

日帰りでも楽しめる!京都らしい散歩道7選

嵯峨野の竹林の道

嵯峨野の竹林の道

新幹線を使えば、東京から京都まで2時間ちょっと。いまや、京都は首都圏からの日帰り旅行も楽しめる観光スポットです。

たとえ短時間の滞在でも、ここを歩けば「京都に来て良かった!」と思える"京都らしい"風情を味わえる散歩道7選を紹介します。

【目次】  

桜と紅葉がおすすめ「哲学の道」

京都を代表する散歩道「哲学の道」。名前の由来は、京都大学で教鞭(きょうべん)をとっていた哲学者の西田幾多郎(にしだきたろう 1870~1945)博士が、この道を思索にふけりながら散歩していたから、といわれます。
紅葉の時期の「哲学の道」

紅葉の時期の「哲学の道」


【歩き方・おすすめ散歩プラン】

京都有数の紅葉の名所「永観堂(えいかんどう)」の北に位置する「熊野若王子(くまのにゃくおうじ)神社」前が、哲学の道の南側のスタート。ここから北へ、東山の裾野に沿うようにして石畳の道が「銀閣寺」前まで、およそ1.8km続きます。

哲学の道の傍らに流れるのは、「琵琶湖疏水(びわこそすい)」。明治時代に京都の近代化のために造られた水路は、今なお京都市の水道水や水力発電のために使われています。
法然院

法然院


哲学の道沿いには、いくつかの小さなお寺や神社がありますが、ぜひ、立ち寄りたいのが「法然院」。鎌倉時代に法然上人によって開かれたという、境内の苔がとても美しい古寺です。

小一時間ほど歩き、銀閣寺に近づくと、道沿いに土産物を売る店などが増えてきて、次第ににぎやかになってきます。
「哲学の道」の桜のトンネル

「哲学の道」の桜のトンネル


哲学の道は、春夏秋冬いつ歩いても四季折々の風情が楽しめますが、とくにおすすめなのは、延々と続く桜のトンネルを楽しめる春先と、燃えるような紅葉が美しい晩秋の頃。

歩くペースにもよりますが、法然院・銀閣寺の拝観をあわせても約2時間のコース。さらに南禅寺や永観堂を拝観したり、南禅寺名物の湯豆腐を食べたりすれば、より充実した観光プランになります。

<DATA>
■哲学の道
熊野若王子神社前~銀閣寺 約1.8km
アクセス:熊野若王子神社へは、地下鉄東西線「蹴上」駅から徒歩約12分
哲学の道・岡崎観光マップ
法然院ホームページ
銀閣寺ホームページ

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一度は歩いてみたい「嵯峨野の竹林の道」

京都で風光明媚な自然の景色を楽しむなら、やはり嵐山・嵯峨野がおすすめ。古くから、貴族の避暑地・別荘地とされ、文人・墨客たちが美しい景色を愛でに訪れました。その嵐山・嵯峨野で、とくに人気の高い散歩道が、「竹林の道」です。

【歩き方・おすすめ散歩プラン】

嵐山・嵯峨野へは、JR、阪急、そして『嵐電』の愛称で知られる京福電鉄と、3つのアクセス手段がありますが、今回は嵐電の「嵐山」駅から歩きはじめましょう。
「渡月橋」と紅葉の嵐山

「渡月橋」と紅葉の嵐山


改札を出たら、道を左に進み、まずは「渡月橋」へ。「月が渡る」という、その風雅な名前は、亀山上皇が橋の上の空を移動していく月を見て「くまなき月の渡るに似る(橋の上を月が渡っているようだ)」といわれたことに由来。

渡月橋の架かる「桂川(かつらがわ)」の上流は「保津川(ほづがわ)」と呼ばれ、舟下りが有名。川沿いを走るトロッコ列車に揺られて上流の亀岡まで行き、帰りに保津川下りを楽しむのもおすすすめプラン。

トロッコ列車と保津川下り

渡月橋から道を引き返し、続いて京都五山一位の「天龍寺」を拝観。嵐山を借景にした方丈庭園などを楽しみましょう。
「竹林の道」を歩く

「竹林の道」を歩く


天龍寺の北門を出ると竹林が広がっており、いよいよ嵯峨野めぐり開始。竹林の一角には、『源氏物語』にも登場し、縁結びにご利益があるとされる「野宮(ののみや)神社」がまつられています。

さらに歩を進めると、まず見えてくるのが「大河内(おおこうち)山荘」の入口の門。かつての時代劇スター、大河内 傳次郎(おおこうち でんじろう 1898~1962)が30年もの歳月をかけて造営した庭園は見応えがあります。
松尾芭蕉の弟子・向井去来が結んだ草庵の跡「落柿舎」

松尾芭蕉の弟子・向井去来が結んだ草庵の跡「落柿舎」


トロッコ列車の駅を過ぎ、松尾芭蕉の弟子・向井去来(きょらい)が結んだ草庵の跡「落柿舎(らくししゃ)」や、紅葉の名所「常寂光寺(じょうじゃっこうじ)」、二体の本尊をまつる「二尊院(にそんいん)」などに立ち寄りながら歩いて行けば、いつしか道は、しっとりとした情緒がいっそう深まる奥嵯峨の地へ。

奥嵯峨では、「祇王寺(ぎおうじ)」というお寺を訪ねてみましょう。
祇王寺境内

祇王寺境内


この寺の名前の由来となったのは、平安時代末期の白拍子(しらびょうし)である"祇王"という女性。祇王は、平清盛の寵愛を受けましたが、"仏御前"という別の白拍子に清盛の寵愛が移ると、世をはかなみ、わずか21歳で尼になり、母や妹とともにこの地に隠棲したという悲しい話が伝わります。

嵐山・嵯峨野めぐりは、歩くペースにもよりますが、3~4時間はみておきたいところ。時間が許すなら、清涼寺や大覚寺、さらに紅葉の季節なら直指庵(じきしあん)辺りまで足をのばしてみるといいでしょう。

<DATA>
■嵐山・嵯峨野めぐり
渡月橋~天龍寺~祇王寺 約2km
アクセス:京都駅からJR山陰本線で「太秦(うずまさ)」駅へ行き、乗り換え徒歩3分の「撮影所前」駅から嵐電で終点「嵐山」駅へ
嵯峨野・嵐山観光マップ
祇王寺ホームページ

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京都 嵐山・嵯峨野散歩 「竹林の道」周辺の名所を歩く
 

"京都のイメージ"そのままの「石塀小路」と高台寺

八坂神社の南に位置する「石塀小路」は、人々が思い描く"京都のイメージ"そのままの風情が残る路地。道の両側には趣のある旅館や料理屋が並び、テレビCMなどにも度々登場しているので、ご存じの方も多いと思います。
"京都のイメージ"そのままの「石塀小路」

"京都のイメージ"そのままの「石塀小路」


【歩き方・おすすめ散歩プラン】

石塀小路は、「東山安井」のバス停が最寄りになります。石塀小路自体は、ほんの150mほどの短い路地で、すぐに通り抜けてしまいますが、京都らしい風情はひとしおです。

石塀小路の東側に隣接するのが「高台寺」。豊臣秀吉の死後、その菩提を弔うために、妻のねね(北政所・高台院)が開創した寺で、「ねねの寺」として親しまれています。高台寺は、春と秋の庭園夜間ライトアップがおすすめです。
ライトアップに浮かび上がる高台寺の枝垂れ桜。3Dマッピングのライトアップショーが行われる

ライトアップに浮かび上がる高台寺の枝垂れ桜。3Dマッピングのライトアップショーが行われる


高台寺を出たら、ここからは家々の屋根の上に見える「八坂の塔」を目指して南へ歩いて行きましょう。
家々の屋根の上に見える「八坂の塔」

家々の屋根の上に見える「八坂の塔」


京都・東山エリアのシンボル八坂の塔は、「法観寺(ほうかんじ)」という飛鳥時代から続く古寺の境内にあります。現在の塔が建てられたのは室町時代の永享12(1440)年で、京都市街地では最古の塔。

塔の内部は拝観可能で、二層目まで上ることもでき、東山一帯の眺望を楽しむことができます。なお、拝観は不定休のためご注意を。「八坂の塔」から、次に紹介する「二年坂」はすぐそこです。

<DATA>
■石塀小路
石塀小路は、距離150mくらい
アクセス:
京都駅から市バス乗車、「東山安井」バス停下車、徒歩3分
石塀小路(祗園商店街振興組合)
高台寺ホームページ

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にぎやかな「二年坂・産寧坂」を歩いて清水寺へ

石塀小路から高台寺、そして八坂の塔まで歩いたなら、続いて、「清水寺」を目指して、二年坂・三寧坂(三年坂)を歩いていきましょう。

【歩き方・おすすめ散歩プラン】

高台寺の南から清水寺に至る坂道は、手前から「二年坂」「産寧坂(三年坂)」といい、坂道沿いには土産物屋や食事処が軒を連ねています。
二年坂・産寧坂(三年坂)

二年坂・産寧坂(三年坂)


祇園や高台寺周辺と京都の人気観光名所・清水寺をつなぐ道なので、人通りが多く、いつもにぎやかです。そして、家々の屋根の上には、先ほどの八坂の塔が見えます。

また、道の途中には大正時代を代表する画家で、数多くの美人画で知られる竹久夢二(1884~1934)が下宿した家の跡(竹久夢二寓居跡)などもあります。
清水の舞台

清水の舞台


清水寺は、言わずと知れた京都を代表する観光名所。有名な「清水の舞台」からは、京都市街を一望できます。

<DATA>
■二年坂~清水寺
高台寺~二年坂・産寧坂~清水寺 約1km
アクセス:
二年坂へは、京都駅から市バス乗車、「清水道」バス停下車、徒歩5分
祇園・東山観光マップ
清水寺ホームページ

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"京都らしい"風情が残る「祗園の町並み」をそぞろ歩き

"京都らしい"風情の街並みの筆頭は、何といっても祇園(ぎおん)周辺。

とくに「祇園新橋」界隈(かいわい)は、「祇園新橋伝統的建造物群保存地区」に指定され、今では貴重になった「紅殻格子(べんがらごうし)」の家並みがよく保存されており、舞妓さんの姿を見ることもしばしばです。
夕暮れ時、店先の提灯に明かりが灯り始める時刻の祗園新橋

夕暮れ時、店先の提灯に明かりが灯り始める時刻の祗園新橋


【歩き方・おすすめ散歩プラン】

祗園を散歩するなら、まずは京都の人々から「祇園さん」と呼ばれ親しまれている、「八坂(やさか)神社」をお参りしましょう。京都の夏の風物詩である「祗園祭」は、この神社の祭礼です。
祗園祭の山鉾巡行(2016年撮影)

祗園祭の山鉾巡行(2016年撮影)


八坂神社から目の前の「東大路通」を北へ向かい、次の信号で知恩院の門を右に見ながら、「新橋通」を西に入ります。

「新橋通」を進み、「花見小路通」との交差点を越えると、その先に「これぞ京都! 」という風景が広がっています。
白川の流れに架かる「巽橋」

白川の流れに架かる「巽橋」


白川の流れに架かる「巽橋(たつみばし)」のたもとにまつられている「辰巳大明神」は、伎芸の上達にご利益があるとされ、舞妓(まいこ)さんや芸妓(げいこ)さんの信仰を集めています。

辰巳大明神のところで、道は二手に分かれます。右の「新橋通」を行けば、道の両脇に紅殻格子の家並みが建ち並んでおり、左の「白川南通」を行けば、白川沿いに柳や桜が植えられ、こちらもまた味わい深い散歩道になっています。
白川の流れと桜

白川の流れと桜


この道は春夏秋冬いつ歩いてもいいですが、桜の季節がとくにおすすめ。日暮れ時、川沿いの茶屋や宿屋に灯がともりはじめる時刻の桜は、とても艶(あで)やかです。

<DATA>
■八坂神社・祇園
八坂神社~辰巳大明神 約700m
アクセス:八坂神社へは、京都駅から市バス乗車、「祇園」バス停下車すぐ。または、京阪「祇園四条」駅より徒歩約5分
祇園・東山観光マップ

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世界遺産「上賀茂神社」と江戸時代の芸術村

京都市街の北部を歩く散歩コースです。世界遺産「上賀茂神社」をお参りし、江戸時代のマルチアーティスト本阿弥光悦(ほんあみこうえつ 1558~1637)が営んだ"芸術村"の跡「光悦寺」にも足を伸ばしてみましょう。

【歩き方・おすすめ散歩プラン】

上賀茂神社へは、地下鉄の「北大路」駅を下り、「京都府立植物園」に立ち寄った後、そのまま鴨川沿いを歩いて行くといいでしょう。鴨川の土手に桜が植えられているので、春先はとても気持ちのいい散歩道になります。
桜咲く鴨川沿いを歩く

桜咲く鴨川沿いを歩く


世界文化遺産にも指定されている上賀茂神社境内の南側に残るのが、神社の社家(神職)の家並み。清流を抱くようにして土塀と石垣で囲まれた30軒ほどの家々が独特の景観を形づくっています。
春の上賀茂神社境内

春の上賀茂神社境内


ちなみに、異彩の芸術家・美食家で、人気コミック『美味しんぼ』の海原雄山のモデルにもなった北大路魯山人(きたおおじろさんじん 1883~1959)は、上賀茂神社の社家の出身。

上賀茂神社から、光悦寺まではやや距離があるので、バスを利用します。途中、乗り換えが必要で所要時間はおよそ20分。
光悦寺境内の「光悦寺垣」

光悦寺境内の「光悦寺垣」


光悦寺は、江戸時代初期に活躍したマルチアーティストで、"日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ"とも称される本阿弥光悦が、芸術家や工芸職人と移住して営んだという"芸術村"の跡です。

鷹峯(たかがみね)の麓の、のどかな雰囲気の光悦寺境内には、7つの茶室が点在するほか、太い竹で編んだ造形が美しい「光悦寺垣」などが残されており、かつての"芸術村"らしい雰囲気が、今なお残っています。
源光庵の丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」

源光庵の丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」


光悦寺の近くには、丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」や、伏見城の遺構「血天井」が残る源光庵があります。

また、「千本通り」を南に歩いて行けば、「金閣寺」や「大徳寺」もあります。金閣寺から、次に紹介する「きぬかけの路」を続けて歩くのもおすすめです。

<DATA>
■上賀茂神社・光悦寺
北大路駅~上賀茂神社 約2km 上賀茂神社~光悦寺 約2.5km
アクセス:
上賀茂神社へは、京都駅から市バス乗車、「上賀茂神社前」バス停で下車すぐ
光悦寺へは、「鷹峯源光庵」バス停で下車、徒歩約3分(上賀茂神社からは、途中、乗り換えが必要)
上賀茂神社~大徳寺観光マップ
上賀茂神社ホームページ

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「きぬかけの路」を歩いて世界遺産めぐり

最後に紹介するのは「きぬかけの路」。以前は、単に"観光道路"と呼ばれていましたが、平成3年、愛称を公募した結果、宇多天皇が真夏に雪見をするために「衣笠山(きぬかけ山)」に絹を掛けたという故事にちなみ、きぬかけの路と命名されました。
「きぬかけの路」は、衣笠山の伝説が名前の由来(写真提供: きぬかけの路推進協議会)

「きぬかけの路」は、衣笠山の伝説が名前の由来(写真提供: きぬかけの路推進協議会)


ふつうの舗装道路なので、風情や趣は他の散歩道に劣るものの、この道沿いには、「金閣寺」「龍安寺」「仁和寺」という、3つもの世界遺産があります。

【歩き方・おすすめ散歩プラン】

きぬかけの路は、金閣寺側から歩きはじめても仁和寺側から歩きはじめてもいいですが、金閣寺側から歩けば下り坂が多いので歩きやすいでしょう。

金閣寺前から最初の1kmほどは住宅地が続きます。住宅地を抜けると右に衣笠山が見え、左には立命館大学のキャンパスが広がり、さらに歩いて行くと、有名な石庭のある龍安寺が見えてきます。
龍安寺の石庭

龍安寺の石庭


龍安寺からカーブの多い坂道を下っていくと、間もなく、遅咲きで知られる「御室(おむろ)桜」で知られる仁和寺に到着し、きぬかけの路はここで終点となります。
御室桜と仁和寺の五重塔

御室桜と仁和寺の五重塔


近くにある「御室仁和寺(おむろにんなじ)」駅から嵐電に乗れば、『東映太秦(うずまさ)映画村』や国宝の弥勒菩薩像をまつる広隆寺のある太秦方面、さらに嵐山方面に足をのばすことも可能です。

<DATA>
■きぬかけの路
金閣寺~龍安寺~仁和寺 約2.5km
アクセス:金閣寺へは、JR「京都」駅から市バス乗車、「金閣寺前」バス停で下車すぐ
きぬかけの路観光マップ
きぬかけの路ホームページ

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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