長期金利は年末年始にかけて上昇する傾向が
2014年8月の長期金利低下の動きを見ていると、2013年4月4日に付けた0.315%という史上最低を更新するかも?という予感さえ頭に浮かびましたが、さすがに0.5%割れは行き過ぎのようだったように感じられます。8月下旬に0.485%まで低下した長期金利は、翌9月に円安が加速するのに伴い0.575%まで上昇しているのです。
9月の下旬こそ、円安、株高の勢いが衰えたことから長期金利はやや低下して月末は0.52%で終わっています。8月末と比較してやや上昇という感じでしたが、過去を振り返ると年末年始にかけて長期金利は上昇、年明け1月の中・下旬頃から低下という動きになっています。
過去の長期金利の動きと、2014年から2015年が必ず同じになるわけではありませんが、もしかしたら同じになる癖がある程度は頭の片隅に入れておいたほうがよいかもしれません。株高よりも円安に長期金利が反応した観があることから、為替の動向には気をつけておくべきかもしれません。
フラット35は3ヵ月連続過去最低更新
2014年10月の融資金利を見ていくと、フラット35は8月、9月、10月と3ヵ月連続過去最低金利を更新しています。物件の90%以内の融資で、主力の返済期間21年以上の融資金利は9月より0.01%引き下げられ1.65%になりました。1.65%の融資金利はフラット35を取り扱っている金融機関の最低金利ですが、他のフラット35を取り扱っている金融機関も概ね0.01%、8月より融資金利は引き下げられています。
主力の返済期間21年以上の融資金利こそ3ヵ月連続過去最低を更新しましたが、返済期間20年以内の10月の融資金利は1.38%と9月と変わっていません。先月も述べましたが、住宅ローンの金利は既に大底圏に達していることから、長期金利が0.5%再び割込み、さらに0.4%を割り込むような大幅な低下をしない限りは、フラット35を含め住宅ローン金利が大幅に低下することはないと思われます。
住宅ローン金利が大幅に低下する可能性が低い別の理由は、金融機関の利ざや(利益)がかなり低くなっていることがあるように考えられます。特に、金融機関としては低金利かつ長期の固定金利で融資を行ってしまうと、将来金利が上昇したときに逆ザヤ(融資金利より資金調達金利が高い)になってしまうからです。逆ザヤを抑えるためには、金融機関は変動金利か短期固定金利を勧めてくることが予測されますので注意しましょう。
固定金利選択型は一部で金利上昇
フラット35は3ヵ月連続して過去最低金利を更新したことから「明」となりましたが、民間金融機関の固定金利選択型は一部の固定期間の金利が引き上げられたことから「暗」となりました。融資金利が引き上げられたのは、主力と言われている10年固定で0.05%~0.10%の引き上げ(一部据え置き)となりました。フラット35の融資金利の見直しは0.01%刻みでも改定が行われますが、民間金融機関の金利の改定幅は0.05%が一般的。融資金利が引き上げられる、あるいは引き下げられる場合も影響が大きいので注意が必要になります。定期預金金利は、0.005%刻みで改定するのですから、住宅ローンも改定幅を合わせてもらいたいものです。
大手金融機関の2014年10月の10年固定の融資金利を見ていくと、据え置いたのはりそな銀行で融資金利は1.30%。0.05%引き上げたのはみずほ銀行と三井住友信託銀行。融資金利はみずほ銀行が1.25%、三井住友信託銀行は1.05%です。
0.1%引き上げたのは三菱東京UFJ銀行と三井住友銀行。融資金利は三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行ともに1.30%となっています。なお、10年固定の融資金利は最優遇金利となっています。