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噴火災害時に備えておきたい医学知識

自然災害については予想をすることが難しく、人は改めて自然に対して無力であることを実感します。火山噴火の時にまずは逃げることが大切です。さらに必要な医学知識を説明していきます。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

火山噴火で考えられる問題点

噴火

活火山であれば、いつ噴火するかもしれません。

火山噴火とは、火山からマグマ・岩・火山灰・噴石・有毒ガスなどが一気に噴き出すことです。この場合に問題となるのが、熱・ガス・粒子または塊です。火口に近いほど、その影響が大きくなります。

高温のマグマが溶岩と共に流れる火砕流や熱風ですと、その場から逃げるしか手がありません。高熱は一瞬にして燃えるものを燃やしてしまいます。全身やけどなどの重症やけどの生存率は高くありません。

■参考記事
まず大事なのは、火山噴火があれば、火口からできるだけ遠くに逃げることです。

噴石

ある程度の大きな岩も転がってきますが、噴石の大きさは数センチから50センチぐらいまで様々です。これらの石が噴火によって高く飛ばされて落下してきますので、かなりのスピードが予想されます。

噴石が飛来し、頭部外傷などが出来てしまった場合、動けなくなってしまいます。したがって、噴石の範囲外に逃げ切れない時には、建物の中に逃げ込むことです。テント程度では防げないので、テントなどはたたんで厚くし、頭部を守る方がいいでしょう。また、登山リュックや寝袋などクッションになりそうな物を頭にのせることも大事です。

登山道具

ヘルメットが無い場合、リュックなどを頭に載せて保護したいものです

噴石が頭部に早い速度で落下した時には、頭がい骨陥没、脳出血などが起こってしまいます。登山時にはヘルメットを用意していた方が、火山の噴火だけでなく、落下等の対策においても良いでしょう。

身体や手足もできるだけ守りたいものです。噴石での骨折や出血なども考えられます。骨折した場合、動かすと痛みがありますので、木や板で、骨折部位を固定します。出血している場合も、圧迫して止血が必要ですが、くれぐれも心臓に近い部分を強く縛らないようにしてください。

■参考記事
噴石が落下している場所からはできるだけ早く避難したいものです。

火山灰

様々な大きさの粒子ですから、鼻や口から侵入して気管支を閉塞し、呼吸困難や窒息を起こします。また火山灰の温度が高いと、皮膚だけでなく、気道が熱傷を受ける可能性があり、呼吸ができなくなってしまいます。程度によりますが、気道熱傷は致死的になりかねません。

火山灰を吸わないように、マスクがあればマスクを、きめの細かいハンカチ・タオル・衣服があれば、そちらで口と鼻を覆うようにしましょう。その時も、できるだけ建物の中に逃げ込んだり、素早い下山をしましょう。

火山ガス

火山ガスの多くは、水蒸気・二酸化炭素・二酸化硫黄です。少量ながら、水素ガス・一酸化炭素・硫化水素が含まれています。

  • 水蒸気
    成分は水ですので問題ありませんが、温度が高い場合は、熱傷・気道熱傷を起こします。二酸化炭素も同様です
  • 二酸化硫黄
    呼吸器である鼻・喉・気管支・肺を刺激して、炎症や気管支喘息を起こします
  • 水素ガス
    非常に軽く、空気より軽いですが、爆発する可能性があります
  • 一酸化炭素
    血液中のヘモグロブリンと結合して、酸素と結合できない状態にしてしまうので、窒息の原因になります
  • 硫化水素
    空気より重く、粘膜を刺激しやすいため、目や鼻、口の粘膜の痛みや炎症を起こします。よく温泉などで卵の腐った臭いの原因の1つです。硫化水素を吸わないためには、地面より少し高い位置で呼吸するようにします

一酸化炭素と硫化水素を吸った場合、酸素を投与することが必要です。登山の場合、山の上では酸素の濃度が低いために、酸素を用意しておくといいかもしれません。

■参考記事

自然災害の予想

台風は予想できます。雷も遠くで鳴っていると注意することができます。しかし、地震と火山などの地球の地殻の動きは、予想が難しいと言えます。阪神大震災、東日本大震災などを予想できたでしょうか?まずは、地震はどこに居ても、いつあるか判らないと思っておくべきかもしれません。火山については、活火山には近づかないことです。富士山も活火山です。噴火は予想できませんが、火山がどこにあるかは判っています。

気象庁では、活火山の表記をしています。近畿、四国以外は火山列島であることが判ります。活火山での登山にはたとえ、車で行くことができても、噴火があれば、逃げ切れないことがあります。思いもよらない事故にも自分自身で責任を持つ覚悟が無い限りは、近づかない方がいいのかもしれません。

■参考記事
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