ストレス/女性に多いストレス

ママ友ワールドが「ママ友地獄」に変わるとき

楽しくもあり、わずらわしくもあるのが「ママ友」のお付き合い。楽しかった集団に、なぜ葛藤が生まれ、トラブルが発生するのでしょう?ママ友ワールドという集団の特徴を考えてみましょう。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

楽しかった集団がなぜ「ママ友地獄」に!?

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「似たカラー」の集団にいれば、安心・安全に感じられるもの

最近、芸能ファミリー同士のママ友バトルが話題となり、ママ友同士の感情的なトラブルはいつの時代でも、変わらずに生じる普遍的な問題だとつくづく感じています。

なぜ当初は楽しかったはずのママ友ワールドが、いつの間にか「ママ友地獄」に変わってしまうのでしょう? そこには、子育て中の主婦のお付き合いに多いトラブルポイントがあるからです。

主として外に働きに出かける夫と異なり、地域の中で子どもの世話に追われながら生活するのが、多くの主婦の日常。そんなとき、子育てに不安を抱えた母親たちは、自分と似た価値観や境遇にある「ママ友」とのつながりを持つことで、安心・安全を感じることができます。

特に、年齢や境遇、感性が近い人の方が接点が多く、安心・安全を感じやすいため、ママ友集団では「似たカラー」の人が自然に集まるようになります。とはいえ、似たような人が集まれば、その中では微妙な優劣差や感情的な葛藤を感じやすく、小さなトラブルが発生しやすくなるのも、集団の常です。
 

「似たカラー」の集団で起こりがちなこと

そんな「小さなトラブル」の一つが、カラーに合わない異分子を排除すること。集団の雰囲気を乱す人が加わると、その人から距離を置き、関わりを持たないようにする空気が生まれます。

たとえば、「やっぱり幼稚園バッグは、手作りじゃなきゃね」という優等生風のママが多数の集団の中で、うっかり「面倒くさいじゃん。既成品じゃダメなの?」などという意見を述べる人が加わると、「カラーの合わない人」「空気を読めない人」として距離を置かれて(=排除されて)しまったりします。

また、「似たカラー」の人が集まっているだけに、少しでも秀でた人に対するジェラシーも発生しやすくなります。「みんなよりちょっとお金持ち」「みんなよりちょっと高学歴」「子どもが他の子よりちょっと目立つ」といった要素は、集団のジェラシーを買う格好の材料になります。

最初は「カッコいい」「うらやましい」と思っていた感情が、いつしか「お高く止まってない?」「上から目線じゃない?」といったマイナス評価に変わり、気がつけば、噂のターゲットをスケープゴートにしてしまうことも、少なくありません。

さらに、集団の中には微妙な「序列」も発生しがちです(ママ友集団では、俗に「ママカースト」と呼ばれます)。発言力の強いママの意見には何となく逆らえず、睨まれないようにと気を使う一方で、甘く見れそうなママ、気の弱そうなママには、冗談まじりにチクッと失礼なことを言ったり、からかったりするなどして、自分がカースト下位に転落しないように操作する、といったようなことが起こりがちです。
 

深そうに見えて浅いママ友つながり

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ママ友とのお付き合いは、子どもの成長と共に変わる

夫の不在中、1人で子どもを保護しながら生活する主婦にとって、同質性と共感性でつながったママ友ワールドは、命綱と思えるほど大切に感じられるものかもしれません。

特に、夫との関係に溝ができていたり、近くに実家や他の友人がいない場合には、「ママ友こそ分かり合える関係」と過剰にのめりこんでいく人もいるでしょう。

とはいえ、ママ友付き合いは深そうに見えて意外に浅く、時がたてば疎遠になっていくのが常です。成長とともに子どもの個性が分かれると、母親の都合で子どもを一緒に行動させることが難しくなりますし、小学校に入ればお迎えがなくなり、保護者活動も少なくなり、ママ友と顔を合わせる機会は少なくなっていくからです。

その他、引っ越しや勤務の開始などで、メンバーが抜けたり、みんなで集まる機会が減っていけば、集団の凝集性は崩れていきます。

こうして、「子ども」で結び付いたママ友ワールドは、意外にあっけなく終わっていくことが少なくありません。お付き合い続けても、しだいに「子どもの成績」「受験」「進路」「生活水準の変化」などを巡って微妙な感情が生まれやすく、子どもが幼い頃のような「共感」の関係は、持続しにくいのです。

いっとき「同じ」と感じていたママ友とも、いずれはライフスタイルの変化、子どもの個性の変化に合わせて、「違い」を感じていくもの。あらかじめ「そういうものだ」と想定しておけば、熱くなりすぎず、ほどよい距離感で、楽しく柔軟に付き合っていけるのではないでしょうか?
 
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