バレエ/大人バレエのテクニック解説

大人バレエの技術解説13 「バットマン・タンデュ」

バットマン・タンデュは、バーレッスンでプリエの次に行う動きです。バレエの基本中の基本動作と言えます。ワガノワ・メソッドを作ったロシアのバレエ教師、アグッリピナ・ワガノワは 「バットマン・タンデュの動かし方を見れば、そのダンサーが優れたダンサーか、そうでないかがすぐに分かる」 との言葉を遺しています。それだけ重要なステップということですね。バットマン・タンデュについて考えて見ましょう。

執筆者:石島 みどり

バレエの実力のバロメーターでもあるバットマン・タンデュのコツをご紹介します。

バレエの実力のバロメーターでもあるバットマン・タンデュのコツをご紹介します。

バットマン・タンデュのバットマンは 「打つこと」、タンデュは 「張る」 という意味です。

バットマン・タンデュは、5番または1番から、片脚の膝を伸ばしたまま床の上を滑らせて、2番または4番のポアント・タンデュ・ア・テール (膝が伸びた動脚のつま先が床の上にある状態のこと) にし、また元のポジションに戻る動きです。


1番からのバットマン・タンデュ

バットマン・タンデュは、始めのうちはバーに向かって1番ポジションから横方向に練習します。なぜ横かと言うと、この方向が脚のターンアウトを一番感じやすいからです。横の次は、前方向、そして最後に後ろ方向を学びます。

動脚が動き出すと同時に、軸脚に重心を移動させますが、この移動は最小限に留めましょう。上半身を上に引っ張りあげるようにすれば、重心移動を最小限に抑えられます。


5番からのバットマン・タンデュ

5番のバットマン・タンデュも最初は両手バーで練習し、その後片手バーに移行していきます。横、前、後ろの順に練習していきましょう。1番と違う点は、前と後ろでポアント・タンデュ・ア・テールにするポジションです。

軸脚かかとの延長線上に動脚のつま先が来るようにします。動脚のつま先を軸脚側にクロスし過ぎると、骨盤の形が崩れるので注意しましょう。

動脚を出す時、そして戻すときに膝が曲がるということがよく起こります。5番では特に上半身を引き上げる必要があります。下腹部を上に引きあげるように。

脚が十分にターンアウトしていない場合、横へのポジションをどのように取ればよいか、悩みどころです。ターンアウトを意識させたい場合は、足のつま先が向いている先に伸ばすのが良いと思います。軸脚のつま先と同じライン上に出すのであれば、少しターンインでも良いかもしれませんね。ターンアウトの度合いにより、方向の使い分けが必要になるということがあります。


いろいろなバットマン・タンデュ

■ドゥミ・プリエを入れるバットマン・タンデュ
1番や5番の閉じた脚でのプリエ、そして脚を出した状態でのプリエの2種類があります。

■バットマン・タンデュ・パッセ・パール・テール
前と後ろへのバットマン・タンデュを1番を通過させて行います。ロン・ドゥ・ジャンブ・パール・テールの練習としてよく使われる動きです。

■バットマン・タンデュ・ルルヴェ
出した動脚をポアント・タンデュ・ア・テールからその場でかかとを落とし、また伸ばすという動きです。アキレス腱と足の甲、そして足裏を鍛えるための動きです。


バットマン・タンデュのコツ

バットマン・タンデュはとにかく脚を真っ直ぐに伸ばすことが大事です。筋肉を引き伸ばすように上下の引っ張りを感じながら行ってください。上下の引っ張りを感じずに行うと、ふくらはぎの筋肉が発達してしまうことがありますので、注意が必要です。

後ろへのバットマン・タンデュでは骨盤が後ろに回るという歪みが生じやすいので、特に注意して行ってください。上半身はとにかく上へ、そして脚はその上半身から引き離されるように下に引っ張りましょう。


バットマン・タンデュは、奥の深い動きです。この動きをマスターするのは本当に大変です。大変だからこそやりがいのある動きでもあります。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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