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オールドジャズメンから聞いた来日ジャズメン面白話(3ページ目)

最近では、来日ミュージシャンの演奏は毎日のように聴くことができるようになりました。でもその昔は、本場のジャズメンの来日となると、それは盛り上がったそうです。日本にいてジャズを志すジャズメンは、本物を見ようとステージはもちろん楽屋にまで押しかけました。そんな、日本のジャズメンから直接聞いた来日ジャズメンの面白話をご紹介いたします。

大須賀 進

執筆者:大須賀 進

ジャズガイド


ビートルズの名曲をスワヒリ語で歌う?日本を代表するファンキードラム奏者 石川晶

 

バック・トゥー・リズム

バック・トゥー・リズム

「バック・トゥ・リズム」より「ヘイ・ジュード」

最後にご紹介するのは、来日ミュージシャンではなく、プレイもルックスも日本人離れしていた石川晶氏。石川氏のライブハウス「ピガピガ」で青春を過ごした私は、一方ならぬ影響を受けました。

石川氏は、ジャズの名門ビッグ・バンド「宮間利之とニューハード」の出身で、日本のスタジオミュージシャンの先駆けだった大物ドラム奏者。当時は、ジャズ畑の人がスタジオへ行くと、堕落したなどと陰口を言われたそうです。

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それでも、石川氏は誇りをもって仕事をこなし、口癖は、「おれは、レコ大3回とった」でした。(日本レコード大賞。石川氏はバックのドラマーとして、第1回の水原弘「黒い花びら」第10回黛ジュン「天使の誘惑」第13回尾崎紀世彦「また逢う日まで」を務めていた)

また逢う日まで

また逢う日まで

 

特に「また逢う日まで」の「パッパッパラーパパ、ドン!」というホーンとドラムの掛け合いで有名なイントロは「おれが作った」と嬉しそうに語ってくれました。

その石川氏が、自身のバンドのレコーディングで、なんとあのビートルズの名曲「ヘイ・ジュード」をスワヒリ語で入れてしまったのが、今回ご紹介する「バック・トゥ・リズム」です。

最初は、誰かヴォーカルを入れて録ろうという話だったのが、プロデューサーに「石川さんの、その声がいいんです」と乗せられ、つい歌ってしまったというもの。

石川氏は、乾いたダミ声で、決して美声ではなく、ここではその声の特色が味となり、スワヒリ語と相まって何とも言えない不思議なグルーブ感を醸し出しています。

その話を、私たちに聞かせてくれた時の石川氏のまんざらでもない表情が今も思い出されます。

「ピガピガ」では「マライカ」などスワヒリ語の歌を歌っていた石川氏ですが、ビートルズに真っ向から(?)立ち向かったこの「ヘイ・ジュード」は、日本を代表するレア・グルーブの傑作と言ってよい出来です。

オールドジャズメンの来日ジャズメンへの昔ばなし、いかがでしたか。機会を見て、まだまだ沢山ある面白話をご紹介したいと思います。それでは、また次回お会いしましょう!

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