宅地建物取引士(宅建)試験/宅建試験に合格するための勉強法

平成26年度宅建試験 法改正と予想問題1~業法・民法

平成26年宅建試験では、同年4月1日までに施行された法律が出題されます。特に、法律が改正されたところは、実際の不動産取引実務で問題視されていたことなので、これから宅地建物取引主任者(宅地建物取引士)になろうとする人が知らないというのでは困ります。しっかりと改正点を整理して覚えておきましょう。まずは、宅建業法と民法の改正点からです。

田中 嵩二

執筆者:田中 嵩二

宅建試験ガイド

宅地建物取引業及びその関連法令の改正

平成26年度宅建試験undefined法改正と予想問題

宅建試験に出題される改正点 耐震改修と区分所有法の決議要件の緩和

1.宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額の改正

【宅建業者が契約の当事者として売買や交換や賃貸した場合にかかる消費税】

売買または交換する物件が建物の場合は、取引価額の8%の消費税がかかります(宅地は非課税)。

賃貸する物件が非居住用建物の場合は、取引価額の8%の消費税がかかります(物件が居住用建物または宅地の賃貸借の場合は非課税)。

【宅建業者が代理または媒介の際に受領する報酬額にかかる消費税】

宅建業者が消費税の課税事業者の場合は、報酬額に8%の消費税を上乗せして受領しても、宅建業法に違反しません。

宅建業者が消費税の免税事業者の場合は、報酬額に4%の消費税相当額を上乗せして受領しても、宅建業法に違反しません。

2.重要事項説明の改正

「災害対策基本法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」にて措置された宅地建物取引業法施行令の一部改正

改正後の災害対策基本法では、指定緊急避難場所及び指定避難所の管理者が当該緊急指定避難場所等を廃止し、又は改築その他の事由により当該施設の現状に重要な変更を加えようとするときは、その旨を当該市町村長に届け出ることが義務づけられました。このため、当該届出義務を新たに説明すべき重要事項と位置付けられました

3.こんな出題が予想されます

【予想問題】 宅地建物取引業者(以下、この問において「業者」という。)の重要事項の説明義務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法に違反するものはどれか。(選択肢省略)

  • 業者が、マンションの一戸の賃貸借の媒介を行うに際し、当該マンションが災害対策基本法において緊急避難場所に指定されている場合、当該緊急指定避難場所を廃止し、又は改築その他の事由により当該施設の現状に重要な変更を加えようとするときは、管理者がその旨を当該市町村長に届け出なければならない旨を説明しなかった。

<解説>

⇒ 違反しない 平成25年改正の災害対策基本法では、指定緊急避難場所及び指定避難所の管理者が当該緊急指定避難場所等を廃止し、又は改築その他の事由により当該施設の現状に重要な変更を加えようとするときは、その旨を当該市町村長に届け出ることが義務づけられました。ただし、建物の賃貸借の媒介の場合には説明する必要がありません。

民法の改正

1.改正点
法定相続分を定めた民法の規定のうち嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めた部分(900条4号ただし書前半部分)が削除され、嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等になりました。

新法が適用されるのは、平成25年9月5日以後に開始した相続です。もっとも、平成25年9月4日の最高裁判所の違憲決定があることから、平成13年7月1日以後に開始した相続についても、既に遺産分割が終了しているなど確定的なものとなった法律関係を除いては、嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等のものとして扱われることが考えられます。

2.こんな出題が予想されます

【予想問題】 平成26年8月12日、Xは、6,000万円相当の財産を遺して死亡した。Xには婚姻関係にあるAとの間にBとC、及び婚姻関係にないDとの間にEの3人の子がいた。Bは同年9月30日に家庭裁判所に相続放棄の申述を行い、Cは、同年8月1日に病死していた。また、Bには子F、Cには子Gがいる。そして、Xには、母Hと弟Iがいる。この場合の民法の規定に基づく法定相続分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 AとHは、それぞれ3,000万円ずつの相続分を取得する。
2 Aは4,000万円、Gは2,000万円の相続分を取得する。
3 Eは1,500万円、Gも1,500万円の相続分を取得する。
4 E・F・Gは、それぞれ1,000万円ずつの相続分を取得する。

<解説>

⇒ 正解は3


まず、誰が相続人になるかを判断しましょう。子がいれば直系尊属や兄弟姉妹は相続人とならないので、HおよびIは相続人になりません。また、相続を放棄している者や、その者の子も相続人とならないので、Bおよびその子Fも相続人とはなりません。これに対し、GについてはCを代襲相続するので、相続人となります。したがって、相続人はA、G、Eの3人となります。

次に、相続分について、配偶者Aは2分の1、残りを子が頭割りで相続分を取得するので、EとGが1,500万円ずつ取得します。なお、婚姻関係にない間から生まれた子であっても、婚姻関係にある子と同様に相続分を取得します(平成25年改正点)。

建築物の耐震改修の促進に関する法律等の改正

1.改正点

病院、店舗、旅館等の不特定多数の方が利用する建築物及び学校、老人ホーム等の避難に配慮を必要とする方が利用する建築物のうち大規模なものなどについて、耐震診断を行い報告することを義務付けし、その結果を公表することとしています。

区分所有建築物については、耐震改修の必要性の認定を受けた建築物について、大規模な耐震改修を行おうとする場合の決議要件を緩和しました。(区分所有法における決議要件が3/4以上から1/2超に

耐震性に係る表示制度を創設し、耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物について、その旨を表示できることになりました。

2.こんな出題が予想されます

【予想問題】 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(選択肢省略)

  • 建築物の耐震改修の促進に関する法律により、耐震改修の必要性の認定を受けた建築物について、共用部分について大規模な耐震改修を行おうとする場合も、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議が必要である。

<解説

⇒ 誤り 区分所有建築物については、耐震改修の必要性の認定を受けた建築物について、大規模な耐震改修を行おうとする場合の決議要件が2分の1以上に緩和されました(平成25年改正点)。


この記事には続きがあります(「平成26年度宅建試験 法改正と予想問題2~税法」にリンク)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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