児童手当の対象は?
まずは、児童手当の概要を整理しておきましょう。児童手当の対象となるのは、中学校修了前(15歳到達後、最初の3月31日まで)の児童を養育している父母などです。離婚協議中で父母が別居している場合は、同居している方が受け取ります。
継続的に児童福祉施設等に入所している場合は施設設置者、里親に育てられている場合は里親が受給します。
なお、児童については、「国内に居住していること」が要件です。海外にいても「留学中」の場合は対象となります。
児童手当の支給額
児童手当の支給額(1人あたり、1カ月分)は次の通りです。- 3歳未満……1万5000円
- 3歳~小学校修了前……第1・2子:1万円、第3子以降:1万5000円
- 中学生……1万円
- 所得制限を超える場合……5000円(特例給付)
所得限度額をおさえよう!
2012年6月以降は、所得制限が適用されています。ここでいう「所得」とは収入とは異なります。給与収入なら給与所得控除を引いた「給与所得」を指します。
所得限度額と比較するための所得の計算方法は、【所得額】-【控除額】-【児童手当法施行令に定める控除額(8万円)】です。
「所得」は共働きであっても合算する必要はありません。一家の大黒柱(世帯主とは限らず、所得の高い方)の分で見ます。限度額は、下表のとおり、扶養家族の人数によって異なります。 表を読むうえでの注意点は……
・扶養親族等の数は、同一生計配偶者と扶養親族等(施設入所等児童を除く)、扶養親族等でないが前年12月31日時点で生計を維持している児童の数をいいます。
・扶養親族等の数に応じて、限度額は1人38万円(老人扶養親族は44万円)を加算。
・収入額は目安です。(実際の適用は所得額で行います)
なお、2021年6月から、計算方法が少し変わりました。令和3年度以後の個人住民税について、給与所得控除や公的年金等控除について10万円引き下げるとともに基礎控除が10万円引き上げられたことを受け、給与所得または雑所得は合計額から10万円を控除して得た額を用いることになりました。
2022年10月から高所得者の特例給付が停止に!
2022年10月支給分からは、大黒柱の年収目安が1200万円以上の場合、現在5000円支給されている特例給付が停止されることになりました。年収目安で960万円以上1200万円未満の世帯では、これまで通り月額5000円の特例給付が受けられますが、所得制限額は世帯の扶養親族の人数により変わるので確認が必要です。
児童手当の支給月は?
児童手当が支給されるのは、10月、2月、6月の3回で、その前までの4カ月分が支給されます。- 10月 6~9月分を支給
- 2月 10~1月分を支給
- 6月 2~5月分を支給
なお、支給されるのは、児童手当の申請をした日の属する月の翌月分からです(出生や市外転入などの場合は、出生日や転出予定日の翌日から15日以内に請求があれば、翌月分から支給されます)。申請が遅れても、さかのぼっての支給はありませんので、早めに申請をしましょう。
毎年「現況届」が必要
毎年6月に「現況届」の提出が必要になります。この届け出をしないと手当が受けられませんので注意しましょう。問い合わせ先
住んでいる自治体へ連絡しましょう。公務員の方は職場へ。<ガイド豊田のつぶやき>
家計簿を拝見していると、児童手当を将来の教育資金用に取り分けている世帯が少なくありません。がんばって児童手当だけでも取り分けておくと、子どもたちの将来の選択肢が広がります。
【関連記事】
児童手当の上手なもらい方
デキる親の常識。児童手当を大きく育てる!
児童手当、誕生月で11万円もの差に!?
※以下はガイド・豊田が2010年3月に書いたコラムです。記録のために残しておきます。
子ども手当とは?
子ども手当は、2010年度限りの時限立法である「子ども手当法」により導入された、民主党の目玉ともいえる政策です。2010年度から給付がスタートし、中学校終了までの子ども1人につき、支給されるのは当面は月1万3000円。支給要件は、子どもを監護し、かつ、生計を同じくしていること等です。児童手当と異なり、所得制限はありません。年3回(2月、6月、10月)、その前月分までの4カ月分が支給されます。子ども手当の支給等の事務は、児童手当同様、市区町村が行います(公務員は職場)。子ども手当を受給するための要件や手続きは児童手当と同様で、市町村への申請等が必要です。
当初、民主党のマニュフェストでは、子ども1人当たり月2万6000円を支給することになっていましたが、財源のメドがたたず、2010年度は半額の1万3000円で導入されました。2011年度も同じく財源が厳しいことから、3歳未満のみ月2万円に引き上げる、という案に落ち着きました。
財源の一部に充てるため、予定していた配偶者控除の廃止と扶養控除の廃止・縮小のうち、扶養控除については2011年から導入が決まりました。
しかし、配偶者控除の廃止については見送られ、結局、3歳未満の支給額を引き上げるための財源は、2011年度分は国が全額負担し、2012年度以降は地方にも負担を求めることに。しかし、地方に負担を求めるのはマニュフェスト違反だとして、拒否する自治体が続出。国会でもめる結果となっています。
そもそも子ども手当が設けられた理由
子ども手当が導入された背景には、少子化が進む中、安心して子育てできる環境を早急に整備する必要性があったことも挙げられます。子育て世帯からは、子育てや教育にお金がかかるため経済面での支援を求める声が上がっていました。一方、日本は、国が子育てにかける予算では、先進国の中でGDP比で最も少ない国でした。その結果、というべきか、合計特殊出生率もG7諸国中最低となっています。
また、少子高齢化が進展し、現在は3人の現役世代で1人のお年寄りを支える形になっていますが、2055年には1人が1人のお年寄りを支えることになることが見込まれ、思い切った対策が求められていたのです。
こうした状況から、子育てを未来への投資として、次代を担う子どもの健やかな成長を社会全体で応援するというコンセプトで実施されることになったものです。
所得制限は何故設けない?
子ども手当は、次代の社会を担う子どもの育ちを社会全体で応援するという理念で実施されたもののため、所得制限は設けられていません。諸外国でも、所得制限なしが一般的だそうです。 子ども手当の創設とあわせて、15歳以下の年少扶養控除が廃止されました。税率は、高所得者ほど高いことから、所得控除による負担軽減額は高所得者の方が大きく、低所得者に小さいものでした。子ども手当は、相対的に高所得者に有利な所得控除から、相対的に支援の必要な人に有利な手当に切り替えるという「控除から手当へ」という考え方で実施されたものです。全員に配るといっても、税制の変更点も含めてみた場合には、決して高所得者に有利というわけではありません。従前から見れば、むしろ高所得者はマイナスになります。
子ども手当の手続きは?
子ども手当の支給を受けるためには、住んでいる市区町村(公務員の場合は勤め先)への申請手続きが必要です。申請後、支給が決定すれば市区町村から認定通知が届きます。手続きの詳細については、住んでいる市区町村に問い合わせましょう。在日外国人の子が海外に住んでいても支給される?
児童手当は、日本人の海外に居住する子どもと同様に在日外国人の子が海外に居住する場合にも支給されていました。子どもに日本国内居住要件を課した場合、今まで児童手当が支給されていた日本人の海外に居住している子どもが支給対象から外れ、不利益変更となることから、平成22年度については、旧児童手当の支給要件を踏襲しましたが、一方で、下記のように確認の厳格化を図りました。
<支給要件のチェックポイント>
・少なくとも年2回以上子どもと面会が行われていること。
・親と子どもの間で生活費、学資金等の送金が4カ月に一度は継続的に行われていること。
・来日前は親と子どもが同居していたことを居住証明書等により確認すること。
・これらの支給要件への適合性を判断するために、提出を求める証明書類について統一化。
*その後、平成23年度以降は、子どもにも日本国内居住要件が課されました(ただし、留学中の場合は除く)。