実力派ギター奏者 スティーヴ・カーン「クロッシングス」より「カプリコーン」(Capricorn 山羊座)
山羊座を表す曲「カプリコーン」は、テナー&ソプラノサックス奏者のウェイン・ショーターの作品で、自身の「スーパーノヴァ」というアルバムで取り上げています。
スーパー・ノヴァ
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ウェイン本人による演奏は、自然現象を思わせる壮大なスケールですが、今回ご紹介するのは、打って変わって軽めの雰囲気の演奏を聴かせてくれるスティーヴ・カーンの「クロッシングス」よりの「カプリコーン」です。
クロッシングス
山羊座は、12月23日~1月20日までの人の星座です。その性格は一見荒々しく、厳しいように思われますが、それは外面だけで、実は自然を愛し、芸術を愛するナイーブな感性を持っています。
つまりはどちらの面もあわせ持っているわけで、この「カプリコーン」のウェインの演奏とスティーヴの演奏は、まさに激しさとくつろぎと言う相反するイメージの演奏になっています。
スティーヴ・カーンは、フランク・シナトラに多くの曲を提供した大作詞家サミー・カーンの息子という、音楽家としてはこれ以上ない恵まれた環境に生まれました。そして、その環境を生かし、ギタリストとして着実にキャリアをつみ成功しました。
決して、派手ではありませんが、堅実な技量に裏付けされた、通好みのミュージシャンといえます。
スティーヴのフワフワ聴こえるギターの音色は、様々なエフェクター(音色を変える機器のこと)により作られています。それだけに、好き嫌いの分かれるところですが、そのフレーズは、伝統にのっとったオーソドックスなものです。
おそらくは、サミー・カーンの息子として、仕事を選べる立場であったと想像されるスティーヴ。残してきた作品も、時代におもねったり、流行に左右されることなく、自分の世界を構築しています。
この「カプリコーン」は、オリジナルの荘厳な曲調とは同じ曲とは思えないほど軽快なラテンタッチです。大きな天変地異の結果、新しい大地がつくられるかのように、オリジナルのテーマ部分の核だけを抽出して、新たな作品としての命を見せてくれているようです。
共演者では、ドラムのデニス・チェンバースがいつもながらの存在感。ゆったりとしたテンポにあってもスピード感があり、スリリングなドラムの特色がここでも発揮されています。
録音されたのが1993年。フュージョン全盛期に活躍した、実力派ギタリストの記録として聴きたい好盤です。
スティーヴ・カーンは、1947年4月28日生まれの牡牛座です。次のページでは、その牡牛座をテーマにしたジャズをご紹介します!
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