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我妻恵美子『肉のうた』インタビュー!(6ページ目)

大駱駝艦の女性最古参舞踏家・我妻恵美子さんが新作『肉のうた』を発表! 女性舞踏家を総動員し、大駱駝艦の拠点・壺中天を舞台に独自の作品世界を提示します。ここでは、創作にあたる我妻さんにインタビュー! 作品づくりの過程とその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド

我妻さんにとって、壺中天で作品を発表する醍醐味とは?

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我妻>あまり保守的にならずにすむところ。公共の場だと“ちょっとこれは……”というようなことも、壺中天では比較的自由にやらせてもらえるので、そこはやり甲斐がありますね。あと、お客さんの反応を身近に感じられるという意味では一番いい場所だと思っていて。近さというのはやはり醍醐味。

踊る側にしても、大きいステージだったら気にならないことも、ここだと ちょっとしたことで踊りの空気を乱すことがある。
それは後輩の子たちに
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2006年『天体のズー』 ph松田純一

とっても訓練になるし、自分もどうしてこういう風にやると空気が壊れないんだろうと考える。

壺中天という場所の空気を運ぶ感覚、近くにいるのに手で掴めないひとに見えるような訓練、それをわかりやすく形としてできるのは非常に魅力です。シアター級になると大振りをしないと伝わらないことも、壺中天はむしろ繊細にやるとすごくビビッドにきいてくる。そこは私がすごく好きなところですね。

大駱駝艦の一員になり15年。長く続けてきた理由、今なお感じる魅力とは?

ph

 

我妻>踊りって、昨日上手くいかなかったことが今日できたっていうときもあれば、今日良かったよなんて言われたことを翌日やろうと思ってもできなかったりする。そのカチッとできないところ、毎回違う生モノの面白さは魅力のひとつですね。こうやってやろう、ここでカッコ良くやってやろう、っていう欲はどうしても出てしまうもの。そこを捨てて踊るにはどうすればいいか、という稽古はいつまでも飽きないというか……。

自分の身体も年数と共に変わってきて、変わっていくからこそ続けてて飽きることがない。呼吸を深くするとか、緊張して息がつまったりする、といった身体の状態を探ること。自分の身体と対話すること、身体に耳をすませてる感覚が面白いですね。自分の範疇からとび出している感じがするし、そこが踊ってて魅力だなって感じます。

ph

2006年『天体のズー』
ph松田純一

作品づくりの楽しさも昔と変わらずあります。自分の中で考えてたものが外に広がっていき、いろんなひとと関わることで、自分の手元からどんどん離れていくのが面白い。頭の中で思ってるだけだと忘れちゃうことってあるけれど、ぱっと言葉にしたことによってそれを聞いたひとが反応して、その反応を見てまた私が違う言葉を口にして……。いろいろな関係性からものごとが膨らんでいき、夢だったものが現実としてみせられるのが楽しいですね。

今回の作品に関して言えば、女ばかりでやるのって、面倒くさかったり気を遣ったりするかもしれないし、最初はちょっとイヤだなって思ってたところがあったんです。でも、今はそれがない。そういう風になれたのは、やっぱり自分もその中から一歩引けた部分があると思う。気を遣ったりという表面的な体裁を一回なくして、そのひとの知らなかった部分ともっと出会いたい。そこで出会うことができたら宝だし、自分の中の発見だなって思っています。

ph

壺中天にて


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