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我妻恵美子『肉のうた』インタビュー!(5ページ目)

大駱駝艦の女性最古参舞踏家・我妻恵美子さんが新作『肉のうた』を発表! 女性舞踏家を総動員し、大駱駝艦の拠点・壺中天を舞台に独自の作品世界を提示します。ここでは、創作にあたる我妻さんにインタビュー! 作品づくりの過程とその想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

バレエガイド

我妻さんが大駱駝艦に入ったきっかけは何だったのでしょう?

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我妻>大駱駝艦との出会いは大学四年生のとき。大学は早稲田で、演劇や舞台活動がすごく活発なんですよね。でも私自身はバンドのサークルに入っていて、演劇とかダンスってむしろ暑苦しくてイヤだなって思っていたし、自分には馴染めないものであり、逆にキライな方だったんです。たまに友達が出るからと付き合いで舞台を観に行くと、非常にわざとらしいし、何だか恥ずかしいな、なんて思ったり。

だけどあるとき知人に誘われ、白塗り・スキンヘッドのパフォーマンスを観に行ったら、見世物的な面白さにちょっと惹かれてしまって。踊りが面白かったというよりも、コレは何なんだという珍しさがあったんだと思います。そのとき折り込みのチラシに入っていたのが、大駱駝艦の無尽塾というワークショップのご案内。自分ももうすぐ社会人になることだし、最後に今まで一番やったことのない世界に挑戦してみよう、それで遊びは終
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2010年『煩悩カケル』 
ph松田純一

わりということにしようと思い、何も知らずワークショップに参加しました。

ワークショップではまず、何でもいいから3分間踊ってくださいと言われて……。たいていそういうところに来てるひとって、演劇をやっていたり美大に行っていたりと、表現することが好きなひとたちだから、何かしら動けるんですよね。でも私はとにかく恥ずかしくて、ずっと後ろ向きでもそもそ動きながら“早く3分経て!”って念じてました。非常に苦い思い出です(笑)。

でも二回目のワークショップに行ったら、“昨日はみなさんに踊ってもらったけれど、あれは自分の意識からくる動きで、大駱駝艦の目指すとこ
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ろはそうじゃないんですよ”“からっぽになるところから始めるのが大駱駝艦の基本的な身体の動かし方なんですよ”と言う。その言葉を聞いて、“え、そうなんだ”と……。それまでは、踊れなかったことに対してネガティブに感じてた。だけど、一旦ゼロにしましょうという話から始まったのが興味深くて……。

自分はただ地球にぶら下がってる革袋です、身体をからっぽにしましょう、革袋に水が入ってきてその水が揺れるから身体が動かされます、水がからっぽになるから身体がしぼんでいくんです、と全てが受動的なんですよね。意識して身体を使うのではなく、動かされるという使い方をするのは初めての体験だったし、その考え方に惹かれて毎回通うようになりました。

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ワークショップの最終日には発表会があって、お客さんをいれ、白塗りして舞台に立ちました。それがまたすごく面白かったんです。白塗りすることで見た目も自分ではないものになり、身体を自分の意識ではないところで使って、動かされて踊る。イメージをつなげてひとつの作品にしていくのも初めての体験で、踊るというより作品をつくることがすごく好きになっちゃって……。実は私、大駱駝艦の作品って一回もお客さんとして観たことがないんです。そういうこともあり、踊ることに対して自分の中でハードルがなかったというのも大きかったのかもしれません。もし観ていたら、“私にはあんなのムリ!”って思ってたかもしれないし。

今までの自分と一番かけはなれたところ行こうと思って、大駱駝艦に飛び込んだ。でもいざ大駱駝艦に入ったら、親戚のおじさんと麿さんが友達だということがわかって……。一番遠くに行ったつもりが、実は全て手のひらの上で転がされてただけでした(笑)。

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2014年、麿赤兒振付・演出 
大駱駝艦・天賦典式『ムシノホシ』
ph川島浩之


大駱駝艦と出会わなければ、就職してOLになっていた?

我妻>就職活動をするのも私はかなり遅かったんですよね。ちゃんと目的意識があるひとは着々と準備をして、四年のはじめにはすでに就職先も決まってた。だけど私はそこまでバリバリやろうって意識もなく、普通に働ければいいやという感じ。

たぶんOLになっていたけど、でもOLになりたかった訳ではないと思う。いろんな道があるのを知らないから働くしかないというだけで、それを望んでいたかというとそうじゃない。だからこそ、ここに来たのかなっていう気がします。

ph

2010年『煩悩カケル』 
ph松田純一


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