社会保険

10月1日から変更! 「育児休業給付金」実務取扱い(2ページ目)

従業員が育児休業を取得した場合、雇用保険の「育児休業給付金」が受給可能です。今般この申請方法が変更されました。従来、一定就業日数以下の条件がありましたが、これを超えても一定労働時間以下(80時間以内)の場合には申請ができるような柔軟な制度への変更です。業務繁忙期でも受給しながらの就労が可能になるようシフト制等を採用してみてはいかがでしょうか。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド


支給対象者は?

育児休業開始後6カ月間の支給率が67%に大幅UPされています

育児休業開始後6カ月間の支給率が67%に大幅UPされています

次の条件に当てはまる者が支給対象者です。
  • 1歳(一定の場合は1歳2カ月。さらに一定の場合は1歳6カ月。)に満たない子を養育する雇用保険の一般被保険者(男女問わず)であること
  • 育児休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が「11日以上」ある月が、「12カ月以上」あること

 「支給単位期間」の支給額は?

次に実際の支給額の計算方法を確認しておきましょう。

1.支給額の計算式

平成26年4月1日以降に育児休業を開始した場合は次の計算式となっています。
「休業開始時賃金日額」× 「支給日数」× 67%
(ただし、育児休業の開始から6カ月経過後は50%)

2.休業開始時賃金日額とは

原則、育児休業開始前(産前産後休業を取得した被保険者が育児休業を取得した場合は、原則として産前産後休業開始前)6カ月間の賃金を180で割った額です。要するに過去6カ月の賃金日割額のことです。

3.支給日数とは

「30日」です。ただし休業終了日の属する「支給単位期間」(最後の期間)は、その期間の実日数となります。

4.支給額の調整(減額・不支給)

「支給単位期間」中に支給された賃金が、「休業開始時賃金日額」× 「支給日数」の

  • 13%(30%)以下の場合 → 67%(50%)相当額を支給
  • 13%(30%)超、80%未満 → 80%相当額と賃金の差額を支給
  • 80%以上 → 不支給
*(  )内は、育児休業の開始から6カ月経過後です。

上記の通り、対象者に賃金支払いがある場合には、注意が必要です。

5.支給額の例

(例)休業開始時賃金月額が30万円の場合の支給額は次の通り

【育児休業給付金の額】
  • 支給単位期間中に賃金支払いなしの場合
    30万円×67%(50%)=20万1千円(15万円)
  • 休業開始時賃金月額の13%(30%)超80%未満の賃金が支払われた場合
    30万円×80%から支払われた賃金を差し引いた額
*(  )内は、育児休業の開始から6カ月経過後です。

<参考記事>
制度拡充!子育て支援制度をフル活用しよう
出産から復職までの社会保険実務の勘所
育児・介護休業法全面施行、どう対応する?

<参考資料>
平成26年10月1日から育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の取扱いが変わります(厚生労働省)
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で社会保険関連の書籍を見るAmazon で社会保険関連の書籍を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます