好きな科目から学習をはじめている
法令上の制限という科目では、都市計画法や建築基準法、国土利用計画法、農地法、土地区画整理法という政治的な香りがする面白そうな法律の名前が並び、それぞれ1問から2問程度の出題となっていることから、好きな法律から学びたくなります。しかし、(時間をふんだんに使える方は別ですが)学ぶ順番を間違えると理解するのに必要な学習時間が2倍にも3倍にも跳ね上がります。
【解決方法】
1.都市計画法から学ぶ
法令上の制限の中では、都市計画法がその他の法令の基礎になっています。したがって、まずは都市計画法をしっかり理解して2点分確実に取れるくらいにまで正確に暗記しましょう。そのうえで、建築基準法を学びましょう。
2.その他の法令の学び方
国土利用計画法と農地法はある程度比較しながら学習すると暗記しやすいです。そして、2つとも合格者のほとんどが正解している科目なので、確実に2点とるつもりで学習してください。
宅地造成等規制法は、条文の知識問題が出題されています。条文数が少ない法律なので短時間の学習で1点確実に取れる科目です。
土地区画整理法は難解な問題も多いので、過去問での出題頻度の高い分野に絞って学習しましょう。組合施行の要件、保留地、公共施設の管理、仮換地の指定、換地処分の効果が頻出なので最低限そこは正確に暗記しておきましょう。
法令上の制限の学習が好きになっている
都市計画法や建築基準法は、実務に直結していることもあり、勉強好きな方はどんどんその学習にのめりこむ可能性があります。もちろん、法令上の制限の得点は満点近くなるのでしょうが、その他の科目の点数が伸び悩み、結果的に不合格になる可能性が高くなります。【解決方法】
「ある程度の全体像」や「現在の制度ができるまでの成り立ち」を知ることで制度の意味が分かるようになり、記憶の定着を助けます。しかし、それ以上に詳細な部分の学習にのめりこむと際限がなくなります。
というのは、法令上の制限は、その多くは規則や施行令といった「より詳細な行政府の作るルール」や「地方公共団体の条例」まで読み進めないと実務で活用できないので、勉強が好きな方であればあるほどそこから抜け出せなくなります。したがって、一定の理解を終えたら、宅建試験に出題される箇所だけを正確に記憶するに留めましょう。
税法を捨てている
税法はたかだか2問しか出題されないので、暗記を嫌って「捨ててしまう」方がいます。しかし、合格する人の多くは税法を捨てません。したがって、他の科目で合格者よりも良い点数をとれる知識がない限り、不合格になる可能性が高くなります。【解決方法】
1.出題頻度の高いものを学習する
税法からは、国税から1問、地方税から1問の合計2問出題されます。国税は、譲渡所得税か印紙税か登録免許税からの出題が多く、地方税は固定資産税か不動産取得税からの出題が多いです。ですから、最低でもこの5つの税については正確に暗記しておく必要があります。
2. 2問中1問は確実に取れる準備をする
不動産取得税と固定資産税はどちらか1問が出題される可能性が高いので、両方とも完璧に暗記しておきましょう。両者は比較すると暗記しやすくなります。
譲渡所得税については特例措置の要件と重複適用の可否を中心に整理して暗記しましょう。
印紙税は、課税客体となる文書と課税標準について正確に暗記しておきましょう。
登録免許税は出題範囲が狭いので全体的にまんべんなく記憶しておきましょう。
不動産鑑定評価基準の用語が難しいので捨てている
不動産鑑定評価基準に出てくる用語が難しく、定義を読んでも頭に入らないので完全に捨ててしまうと、合格者に1点差を付けられ、不合格になる可能性が高くなります。【解決方法】
1.キーワードで違いが分かるようにする
難解な用語が並ぶ定義を意味もわからず丸暗記するのは不可能です。まずは、具体例でイメージをもった上で、キーワードだけを暗記します。たとえば、「正常価格」であれば「市場性を有する」「現実の社会経済情勢」、「特殊価格」であれば「市場性を有しない」「文化財等」などのように、キーワードを拾って違いが分かるようにします。宅建試験では、定義を入れ替えて「×」にするような選択肢が多いからです。
2.頻出分野に絞って学習する
不動産鑑定評価基準では、価格形成要因、鑑定評価によって求める価格、鑑定評価の方式の3分野からの出題が9割以上です。実務で活用できるとても重要な知識なのですが、それは宅建試験に合格してから本格的に勉強すればよいので、試験対策としては上記分野を過去問ベースでまとめておく程度にしておきましょう。
改正点を意識していない
法令上の制限と税法については、ほぼ毎年改正されている箇所があります。改正点がすぐにでるか否かでいろいろな噂がありますが、出題されたときのリスクを考えれば、勉強しておくほうがベターです。【解決方法】
市販されているテキストでは、最新の改正点が記されていないのが普通です。試験直前期に販売される改正点等の受験用の冊子を購入するか、インターネット上で信頼のおける受験用の改正情報を入手してプリントアウトしておきましょう。オールアバウトでは、私が毎年、改正点を記事にして公表しておりますので、ぜひ参考にしてください。
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・平成28年度宅建試験 ここが出る法改正
・平成27年度宅建試験 法改正と予想問題
・平成26年度宅建試験 法改正と予想問題1~業法・民法
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免除科目を捨てている
免除科目は暗記科目がほとんどで、土地や建物の知識に関しては詳しく扱っているテキストも少ないし、統計問題は最新のものがテキストに載ってないので、全部捨ててほかの科目で点数を取ろうと思うと、登録講習受講者(5問免除対象者)と確実に2~3点差を付けられるので、不合格になる可能性が高くなります。【解決方法】
1.できる限り5問中5問解ける準備をする
現在、宅建試験受験者の20%以上が5問免除の対象者となっています。そして、免除者もそうでない一般受験者も合格ラインは同じく設定されているので、免除されていない一般受験者がこの科目で点数を落とすと圧倒的に不利になります。したがって、できる限り5問解けるようにしておく必要があります。
2.免除科目攻略法
住宅金融支援機構法は、その金融商品の概要と適用要件から出題されます。テキストで一通り理解したうえで過去問演習と住宅金融支援機構のホームページで最新の商品の概要を参照しておきましょう。これも、自分が担当者となったときにお客様に説明することを想像すると記憶に定着しやすくなります。
不当景品類及び不当表示防止法は過去問ベースで学習し、常識レベルで解ける問題はあえて暗記しようとせず、間違えた問題・悩んだ問題だけをテキストで確認しておくだけで十分点数が取れます。
不動産の需給・統計は、地価公示の概要、新設住宅着工戸数(年計の持家・貸家・分譲住宅を要チェック)、財務省公表の不動産業の経常利益、不動産取引の件数、宅建業者数の推移、を試験前日と当日に再確認しましょう。最新の資料は、私がオールアバウトの記事で発表致します。
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建物の知識は、過去問ベースで学習して、興味本位でよいので休みの日に建築の本を読んでみるとよいでしょう。また、管理業務主任者などのテキストで建築に関する箇所を一読してみるのも効率的です。
土地の知識は、宅地に向いているか否かが出題の中心です。過去問の焼き直しの問題も多く、15年分くらいの過去問をやっておけば十分得点できます。