ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

ラスタ・トーマスが語る『Rock the Ballet2』(6ページ目)

バレエを皆に伝わるものにしたい!天才ダンサーのラスタ・トーマスの熱い思いが、バレエの高度な技を使い、ロックやポップス、ヒップホップを踊る新エンターテイメントを生み出しました。『Rock the Ballet2』には大貫勇輔も参加。ラスタにカンパニーを設立した理由、作品への思いや大貫勇輔について、ダンスを始めたきっかけ等を伺いました。

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

ミュージカルガイド

 

舞台写真

Bad Boys of Dance『ロミオ&ジュリエット』

ダンサーになるには50%の才能と50%の頭の良さが必要

——確かに。東京では少しずつヒップホップダンサーの活躍の場が増えていていますけど、でもまだまだ少ないです。
バレエはあちこちで毎月公演があるのにね。バレエはより長い歴史と伝統があるから、特別なものとされている。ただ良いヒップホップダンサーは良いバレエダンサーと同じぐらい才能も価値がある。難易度は変わらない。同じぐらい訓練しなければいけないし、時間もかかる。スタイルが違うだけだ。僕が『Rock the Ballet2』でジャズダンスやヒップホップダンス、タップダンスなどを取り入れているのは、いろんなスタイルのダンスにチャンスを作りたいという思いもあったから。

——私の勝手なイメージでは、日本人ダンサーは戦略というより感性の人が多い気がします。
多分、ダンサーたちは子供の頃、練習しなさい、練習すればプロになれると言われて育っているんだよ。それは少し嘘だとも思う。ものすごく練習して、最高に上手くなって、もしかしたらダンサーになるチャンスが来るかもしれない…ぐらいの確率だよね。
『ラプソディ・イン・ブルー』と2年前の『BAD GIRLS meets BAD BOYS』で一緒に踊ったTAKAHIROは小さなテレビショーに出たことがきっかけで、マドンナのダンサーになった。新しい道を開拓するのはかなり巧妙な技がいる。でもそれが彼を特別な存在にしたんだ。『ifi』で一緒にやっているTomo(辻本知彦)もシルク・ド・ソレイユで踊っていた。大きな経験が彼らを一層成長させる。50%の才能と、50%の頭の良さが必要なんだ。
これは悲しいことでもあるよ。だって、世の中には才能が溢れているの に、チャンスがない。もし君がストリートでつまらないミュージシャンやひどいダンサーを見かけても、最悪とは思わない。才能がないんだから仕方ないって思うだけ。だけど素晴らしい才能があるのに、チャンスがないのは残念だよね。

——その点、ラスタさんはダンサーたちに多くの機会を作っていますね。
今回のカンパニーは、大体18歳から25歳までのダンサーたち。中には初めてツアーに出る人もいる。初めてクレジットカードを取得して、チェックで収支を計算し、電話も…彼らにとって、いい学びの場でもあるよね。

——もうひとつ、ラスタさんはダンスだけでなく、様々なエンターテイメントに興味を持っていますよね。興味を広げることは大切?
確かに、いろんなものに関心を持たないとね。ブロードウェイで『ロッキー』が上演されていたじゃない?古いボクシングの話でも、ああやってミュージカル化できるんだって驚いた。賢いよね。いつも考えていないと。
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