今年の初夏は大充実!青春ドラマから心理スリラー、痛快アクションコメディまで、様々なジャンルの話題作が登場します。

【5~6月の注目! ミュージカル】
『ブラック メリーポピンズ』5月14日開幕←囲み会見レポート&観劇レポートUP!
『THE CIRCUS!』5月14日開幕(その後名古屋、大阪公演有)←観劇レポートUP!
『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯~』6月6日開幕←稽古場レポート&観劇レポートUP!
『Tell Me on a Sunday ~サヨナラは日曜日に~』6月10日開幕←演出家インタビュー&観劇レポートUP!
『A Midsummer Night’s Dream 夏の夜の夢』6月10日開幕←観劇レポートUP!
『キム・ジョンウク探し~あなたの初恋探します~』6月12日開幕←観劇レポートUP!
『bare-ベア-』6月30日開幕←稽古場レポート&橋本真一さん、原田優一さんインタビュー&観劇レポートUP!

【AllAboutミュージカルで特集した(特集予定の)ミュージカル】
『1789』5月21日大阪開幕、『エリザベート』6月28日開幕、『ロミオ&ジュリエット』17年1月15日開幕 出演・古川雄大さんに「気になる新星」にてインタビュー
『天使にラブソングを~シスター・アクト~』5月22日開幕 出演・森公美子さんに「Star Talk」にてインタビュー

オフブロードウェイ・ミュージカル『bare-ベア-』

6月30日~7月10日=新宿シアターサンモール
『bare』(初演)より

『bare-ベア-』(初演)より

【見どころ】

全寮制高校を舞台とした高校生たちの愛と苦悩を描いて00年にLAで初演され、04年にはオフブロードウェイに進出、以降世界各地で人気のミュージカル『bare-ベア-』。日本では14年に原田優一さんの初演出作として上演され、大きな話題を集めた本作が新キャストのもと、この夏再演されます。
『bare-ベア-』2016年公演製作発表にて。(C)Marino Matsushima

『bare-ベア-』2016年公演製作発表にて。(C)Marino Matsushima

ロックを主体としたメロディアスな音楽に彩られながら描かれる、秘められた愛、容姿へのコンプレックス、大人からのプレッシャー……。物語そのものは衝撃的な方向へと進んでゆきますが、高校生たちが抱える悩みは誰もが経験しうるもの。自然に共感を抱きながら、原田さんがオーディションで選んだ若手俳優たち(鯨井康介さん、岡田亮輔さん、田村良太さん、橋本真一さん、増田有華さん、皆本麻帆さんら)の“青春の痛み”ドラマを見守ることができるでしょう。大人キャストの神父役=川崎麻世さん、シスター・シャンテル役=入江加奈子さん、クレア役=秋本奈緒美さんによる強力サポートも楽しみ!

【稽古場レポート~橋本真一さん、原田優一さんミニ・インタビュー】
『bare』稽古にて。別ページに『ラディアント・ベイビー』の抱擁写真もありますが、その“恍惚の抱擁”とは、こちらは全く異なります。どんな意味合いを持つ抱擁なのか、ぜひ2幕クライマックスのピーター、ジェイソンに注目を。(C)Marino Matsushima

『bare-ベア-』稽古にて。別ページに『ラディアント・ベイビー』の抱擁写真もありますが、その“恍惚の抱擁”とは、こちらは全く異なります。どんな意味合いを持つ抱擁なのか、ぜひ2幕クライマックスのピーター、ジェイソンに注目を。(C)Marino Matsushima

稽古場に到着すると、そこではちょうど2幕のクライマックスが展開中。ある事態が発生し、密かに愛し合っていた高校生ジェイソン(この日のキャストは鯨井康介さん)とピーター(この日は田村良太さん)の関係が激変していきます。追い詰められ、神父でもある校長(川崎麻世さん)に悩みを打ち明けるジェイソンですが、かえってきた答えはその場しのぎにしか聞こえない。10代のナイーブな心と、大人の想いが衝突する様が鯨井さん、川崎さんの迫真の歌声で描かれ、引き込まれずにはいられません。その後も息つく間もなく物語は進み、一気に衝撃のラストへ。初日10日前にしてのかなりの完成度に、本番が空恐ろしくさえ感じられた稽古でした。
『bare』稽古にて。左からアイヴィ役・皆本麻帆さん、マット役・一和洋輔さん、ジェイソン役・鯨井廣介さん。(C)Marino Matsushima

『bare-ベア-』稽古にて。左からアイヴィ役・皆本麻帆さん、マット役・一和洋輔さん、ジェイソン役・鯨井廣介さん。(C)Marino Matsushima

終了後、演出の原田優一さんから「ピーターそのもの」と白羽の矢をたてられたもう一人のピーター役・橋本真一さんにミニ・インタビュー。本格的ミュージカルは今回が初めてということで「周囲の方々の歌唱力が素晴らしく、はじめは“この中で僕は歌うのか”と半端でないプレッシャーを感じましたが(笑)、これまで演劇で培ってきた感情表現などを活かしながら頑張っています」とのこと。
89年大阪生まれの橋本真一さん。関西学院大学を卒業後に芸能界入りし、『ミュージカルundefinedテニスの王子様』『ソングドリーマーズ』等の舞台、映像で活躍。これを機にミュージカルにもどんどん挑戦したいと言う。「決まったところで歌うという制約もあるけれど、表現としてミュージカルはとても面白い。今回のピーターのように、感情の起伏の激しい役をたくさん経験していきたいです」

89年大阪生まれの橋本真一さん。関西学院大学を卒業後に芸能界入りし、『ミュージカル テニスの王子様』『ソングドリーマーズ』等の舞台、映像で活躍。これを機にミュージカルにもどんどん挑戦したいと言う。「決まったところで歌うという制約もあるけれど、表現としてミュージカルはとても面白い。今回のピーターのように、感情の起伏の激しい役をたくさん経験していきたいです」

「当初は同性愛ってどう演じたらいいだろうと悩み、相手役の方と向き合うと“男の人だ……”と変に意識していましたが(笑)、通し稽古に入って余計なことを考えず、ただ一人の人間として愛せるようになってきました。高校時代って、3年間ずっと同じ人間関係の中で生きていくので、物凄い閉塞感があるんですよね。自分自身の高校時代も思い出しながら、そんな閉鎖社会での悲劇に共感しつつ演じています」と、真剣なまなざしで語ってくれました。

そんな橋本さんについて原田さんにうかがったところ、「無理のない、自然な歌唱ができる人で、母性本能をくすぐるオーラの持ち主。でも、素顔はとっても男らしいんです」とのコメントが。「彼をはじめ、今回はフレッシュな方から川崎麻世さんのようなベテランまで、多彩な方々に集まっていただき、意見を出し合って作っているので、とても引き出しの多い(豊かな)舞台になってきていますね。大人のお客様にとっては、悩める高校生の話は“遠く”感じられるかもしれないけれど、本作には彼らと大人たちの関係の物語という側面もあり、小劇場という空間で観ることで、それを“他人ごと”でなく身近に“体感”できると思います。ぜひ幅広い方々に御覧いただきたいです!」と、現時点での確かな手ごたえを語ってくれました。

【観劇レポート】
『bare』ピーター=田村良太、ジェイソン=鯨井康介(C)bare2016

『bare-ベア-』ピーター=田村良太、ジェイソン=鯨井康介(C)bare2016

取材時、本作には「荒削りな風合い」があり、それもまた魅力とおっしゃっていた演出の原田優一さん。そんな作品の「荒削り感」を、まっすぐな演技が印象的な橋本真一さんをはじめとするフレッシュなキャスティングや、手作り感のある可動式コーナーのセット(と役者自身によるその操作)で醸し出し、前回以上にエネルギッシュな仕上がりとなっているのが今回の舞台です。特に、生徒たちがパーティーに向けて歌う「Wonderland」での弾けっぷりは、厳格な寄宿舎生活の結果引き起こされる生徒たちの反動を鮮やかに体現。その後のドラマをぐっと感情移入しやすいものとしています(薬の売人でもある生徒ルーカス役・松永一哉さんに“憎めない”魅力有り)。
『bare』ジェイソン=岡田亮輔、ピーター=橋本真一

『bare-ベア-』ジェイソン=岡田亮輔、ピーター=橋本真一(C)bare2016

熱気に包まれながら疾走する一幕から一転、第二幕では主人公たちの苦悩をソロ・ナンバーで丁寧に描写。中でも初演に引き続いてのジェイソン役・鯨井康介さんは、ピーターへの愛と父からの期待に応えなければという義務感の間で大きく揺れ動き、引き裂かれてゆく内面を、明朗な歌唱と激情迸る演技で表現。前回よりさらに大きな役者ぶりで、作品全体を力強く牽引しています。
『bare』ジェイソン=岡田亮輔、ルーカス=松永一哉(C)bare2016

『bare-ベア-』ジェイソン=岡田亮輔、ルーカス=松永一哉(C)bare2016

また思いのままに生きているように見えて内面にコンプレックスを抱え、ジェイソンとの愛に希望を見出そうとするアイヴィー役・皆本麻帆さんも、彼との心のすれ違いで不安を抱き、それが絶望へと変わってゆく過程を“魂の叫び”そのものの歌唱で体現。彼女を慕うマット役の一和洋輔さんは、嫉妬と良心の間で揺れる心を芯のぶれない歌声で的確に描き、存在感を示します。
『bare』マット=一和洋輔、アイヴィー=皆本麻帆、ジェイソン=岡田亮輔

『bare-ベア-』マット=一和洋輔、アイヴィー=皆本麻帆、ジェイソン=岡田亮輔(C)bare2016

やがて生徒たちが迎える卒業式。問題は未解決のまま、彼らが容赦なく大人の世界へ放り出される瞬間に幕は下ります。ピーターを後ろからそっと抱きしめる人影、その美しい構図とは裏腹に、心に深い傷を負った若者たちの“その後”が気がかりにならずにはいられない幕切れ。青春の一面を鮮やかに、観る者の心に刻み付ける舞台です。

*次頁で『Tell Me on a Sunday~サヨナラは日曜日に~』以降の作品をご紹介します!