2012年『BADGIRLS meets BADBOYS』公演より (c)瀬戸秀美
罰として始めたバレエ。長い間、嫌でしょうがなかった
——ラスタさんがバレエを始めたきっかけは?
最初、父がマーシャルアート(格闘技)のクラスで、僕に空手を習わせた。息子に強くなってほしかったんだろうね。だけど僕は「こんなことしたくない!」って反抗したんだ。そうしたら父が「ラスタ、いい子になさい。もしいい子になれないなら、バレエクラスに入れてチュチュを着せるよ!」って(笑)。僕は「そんなの女子がやることだ」ってむくれて、絶対やりたくなかったよ。でも次の日、彼は罰として、僕をバレエクラスに連れて行ったんだ。僕は嫌でしょうがなかったけど、 まだ7歳でどうすることもできなかった。バレエの先生が無料のスカラーシップをくれて、父は「これで完璧だ」と喜んでいたけど、僕は嫌いで嫌いでたまらなかった。
長い間、バレエは好きじゃなかったよ。マイケル・ジャクソンやジーン・ケリー、ブルース・リー、バスケットのマイケル・ジョーダンの美しい動きを知ってから、僕もやってみようと言えるようになったんだ。身体を使って自分を表現したくなって。——初めて踊ったナンバーは何でしたか。
アメリカで小さなコンテストに出たんだけど、ソロの一つはM.C.ハマーの「Can’t touch this」をジャズバレエで踊ったよ。クラシックバレエの学校での初めての作品は、確かポルカかマズルカか、ワルツ…。僕は小さな水兵の男の子役だった (笑)。後に「ドンキホーテ」かな。
——日本ではプロのダンサーになりたいという人が増えていますが、プロになるのに必要な要素は何だと思いますか。
半分はスキル、半分は頭脳、頭の良さだね。ある人は頭は良くてもスキルがない。またスキルはあるけど、頭の良さがない人もいる。
頭の良さとは、アイディアを創り出し、Youtubeのビデオを作り、マネージャーやプロデューサーとコンタクトをとること。ストリートで素晴らしく才能あるヒップホップダンサーがよく練習しているよね。だけど彼らが何者か、誰も知らない。もしジャスティン・ティンバーレイクがダンサーを探していたとして も、彼らのことを知らなければ何も起こらない。自分が自分の広報係となって、チャンスを作るしかないんだ。そのために計画を立てる。難しいことだけどね。
残念なことに、ヒップホップはとても人気があるけど、チャンスがまだまだ少ないんだよね。