まずはバックアップから
パソコン本体は、普段使用しているソフトウェアなどがセットアップ済みの状態で、バックアップ機を用意しておきましょう。事故や災害で壊れてしまったときだけでなく、平時で不具合が生じた際にも、大きなタイムロスなしに代替機を利用できるようになります。また、共有データなどはクラウドで管理するケースも増えていますが、社内サーバでのみ管理している場合、サーバにUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)」をつないでおくと安心です。
この時、大容量のUPSを購入すればバッテリーのように使うこともできますが、コストを考えるとあまり現実的ではありません。非常時においては、UPSイコール電源供給用というより、安全にシャットダウンするための時間を稼いでくれる装置と考えましょう。
さらに、自動でバックアップを取るソフトを導入するなど、定期的にデータのバックアップを取る体制を構築しておけば、イザという時でもデータの復旧が容易になります。
外部記憶装置やクラウドに、定期的にバックアップを取ろう
電源確保にはモバイルバッテリーを
東日本大震災後、ソーラーバッテリー充電器や自家発電機が注目されていますが、このような電源確保の手段の1つとして、モバイルバッテリーを用意しておくと便利です。モバイルバッテリーから電源供給できるデスクトップパソコンは多くありませんが、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットであれば、充電しながら利用することができます。それほど場所を取るものではありませんので、用意しておいて損はありません。
インターネット接続には予備回線を
インターネット回線の利用には、通常、電源を使うルータと呼ばれる機器が必要となります。停電時には、たとえ回線自体が利用できる状態でも、このルータが使えなくなるため、復旧が難しくなります。そこで、停電時でもインターネットに接続できるよう、モバイルルータを予備回線として用意しておきましょう。こちらもバッテリーで動く機器ですので、モバイルバッテリーからの充電もでき、停電時でも使うことができるのです。
モバイルルータの使用にあたっては、回線ごとに契約が必要となるため、ランニングコストが発生しますが、営業担当者などが外出先で利用するといった用途にも使えるため、日常的にも有効活用できるのではないでしょうか。
最後に
BCPは、機器や体制の準備だけでなく、策定内容に沿って実際に運用できることが必須条件です。「どこにバックアップを取っているのか分からない」「誰も使い方を知らない」「数が全く足りない」といった状況では、事故・災害時のリスク対策としては役に立ちません。また、データをクラウドに分散保存したり、バックアップを取っていても、それを活用するための復旧プロセスが明確になっていなければ、せっかくの対策も中途半端になります。
これを機に、今あるリソースが災害時にどのようなダメージを受ける可能性があるのか、そしてそれらを復旧させるにはどうするのか、どれくらいの時間がかかるのかといったことを、きちんと把握しておきましょう。