子どもにはリビング学習を。昔から言われていることですが、やり方次第では効果の出ないことも…
「うちの子、なかなか勉強をやる気にならないのよね……。」
こんな悩みをお持ちの保護者の方はきっと多いと思います。
でもちょっと待って下さい。子どものやる気が出ないのは、もしかしたら保護者の方に原因があるかもしれません。今日はお子様がやる気になる方法について、具体的な5つの方法をお話ししたいと思います。
<子どもをやる気にする学習環境の目次>
子どもをやる気にする学習環境1. リビングに学習スペースをつくる
リビング学習は昔から言われていることですね。リビング学習をさせる意義はふたつ。一つ目は親の監視の目が行き届く場所に子どもを置き、集中力を持続させること。もう一つは学習チェックを親がすぐに行えることです。でも、ただやみくもに、リビングで子どもに学習をさせるだけでは、学習の効果はあまり期待できません。リビング学習をやらせる時にはきちんとした下準備が必要になってきます。
まず学習スペースをきちんと確保すること。整理整頓のできていない乱雑なテーブルでは、誰だって気分よく学習できませんね。それに物が乱雑に置かれていると、気が散って集中できません。お客様をお迎えするときのように、きれいに、清潔にしてください。
次に、テキスト・ノート・参考種・辞書・筆記用具などを収納しておく家具を準備しましょう。勉強道具をいちいち自分の部屋に取りに行くのでは、効率が良くありません。リビング学習は一時的なものですので、凝った家具をご用意いただく必要はありません。カラーボックスなどでよいと思います。
そして、これが最も重要なことなのですが、テレビやゲームといった誘惑をできる限り排除しておく必要があります。これは以下の項目で詳しくお話することにいたします。
子どもをやる気にする学習環境2. TVやゲームなど誘惑を全て排除
子ども達が学習意欲をそがれる最大の原因は、テレビやゲームといった娯楽の誘惑です。これに勝てる人はなかなかいないでしょう。私も映画が大好きなので、執筆をするときは絶対にDVDのある部屋から離れます。でないと、いつのまにか映画を観ているということになりかねないので。保護者の方の中には、「私は昼間働いてきているのだから、夜くらいゆっくりくつろがせて欲しい」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。ごもっともなご意見です。しかし子ども達も昼間は学校に行き、夕方からは塾に通い、目いっぱい頑張っています。そこを更に家庭でも学習させようというわけですから、これは大変なことなのです。
それなのに親がテレビなどを見ていたら、子供心に「大人はずるい」と感じる筈です。当然、学習意欲は減衰し、学習効果が薄れて成績が上がらなくなる。悪循環です。
受験生の保護者たるもの、お子様と一緒に多少の娯楽は我慢するべきだと私は考えます。子どもにだけ努力することを強いるのは、どう考えても不公平です。受験が終わるまではストイックな生活を心がけてください。
しかしながら、何でもかんでも我慢しなければならないというわけではありません。子どもは、大人が新聞や雑誌を読んだり、趣味のデコアートやネイルをやったりしていても、不思議なことに「遊んでいる」とは思わないものなのです。ですからテレビを見たりする代わりに、ご自分の趣味の時間を多く取るようにすればいいわけです。ぜひこの機会に、新しい自分を発見してみてはいかがでしょう。
子どもをやる気にする学習環境3. 図鑑・事典・歴史漫画等を揃える
学習環境を整えることは、ご家族のご協力が必要不可欠です。
「うちの子、全然読書しなくて困っちゃう」よく耳にする悩みです。しかし私は、子どもが読書をしなくなる原因は、実は保護者の方がつくってしまっていると考えます。
子どものみならず、人間とは誘惑に弱い生き物です。しなければならないAよりも、より魅力的な別のBがあれば、人はBに飛びつきます。マンガやゲームといった、麻薬にも似た娯楽を子どもに買い与えておいて、子どもに「読書をしろ」というのは、なかなか酷な要求であると私は思います。
家にマンガやゲームがなければ、子ども達は自然と図鑑や歴史マンガを読むようになります。それしか読むモノがないわけですから仕方ないですよね。しかも同じものを繰り返し繰り返し読んでいると、その内容をだんだん深く理解することができるようになって、それに関する興味・関心が醸成されるようになるのです。それが次なる好奇心や探究心につながり、子ども達は自ら進んで読書をしたりするようになるのです。
「どうせ買っても読まないし」と最初からあきらめるのではなく、まずはそろえてみましょう。そのうえで誘惑を少しずつ排除していけば、子ども達は必ず図鑑や分冊百科を手に取るようになります。もちろんすぐには変わらないかもしれませんが、子どもは元来、好奇心旺盛な生き物ですから、子どもの好奇心をそぐような刺激の強いものを子どもの周りにおかなければ、自然と自ら興味・関心を抱くようになるはずです。
子どもをやる気にする学習環境4. 暗記モノはお風呂場に貼る
家庭教師先などでお手洗いをお借りすると、もとの壁紙の色がわからなくなってしまうくらい大量に、さまざまなプリントが貼りつくされているのに出会ったりします。大変驚くと同時に、受験生は大変だなあと、同情したりします。ところでこの「暗記モノをトイレに貼る」という方法は、どのくらい効果があるのでしょうか。確かにトイレというのは一見、暇を持て余しているように思われます。しかし実際にはそれほど長居はしていないのです。あるアンケート結果によれば、長い方のトイレ使用時間の平均は4.8分。前後の動作を含めると、便器に座って落ち着いている時間は、残念ながらそう多くはなさそうです。
第一、壁に大量に勉強用のプリントが貼り付けられていては、子ども達は落ち着いてトイレが出来ないでしょう。身体に悪そうですし、あえて目を背けてかえって覚えないのではないでしょうか。
私のお勧めは、お風呂場です。お風呂場なら湿気により紙がペタッと貼りつきますから、テープいらずで手間がかかりません。またトイレよりもじっくり入っていますので、暗記する時間は充分取れます。さらに温浴効果でリラックスできますので、暗記をするには非常に効果的です。
早速今日から、トイレに貼ってあるものをすべてお風呂場に移動させましょう。もし、プリントがボロボロになってしまうのが困るようでしたら、コピーを取ってお使いください。それならにじんで読めなくなる心配もありませんし、紙が破けてくるころには、暗記項目がしっかり頭に入っていると思いますよ。
子どもをやる気にする学習環境5. 常にプラスの声かけを!
いつでも笑顔を忘れずに!
1~4のような、物質的な環境を整えることも大切ですが、何といっても精神的な学習環境を整えることも忘れてはなりません。
しかし保護者の皆様は、お子様の学習の様子を見てついイライラして、「はやく勉強しなさい」と大きな声で怒鳴ったり、「これじゃ合格なんてとても無理ね」などとマイナスの声かけをしてしまったりします。
でもどうでしょう。ご自身の子ども時代を思い出してください。親から「勉強しなさい」と言われて、やる気が満ち溢れて来たという経験をされた方は少ないのではないでしょうか。むしろかえってやる気を削がれて、「いまやろうと思ってたのに。あーやる気なくなった」などと言い返していたのではないでしょうか。まさに歴史は繰り返す、ですね。
子ども達は、「勉強しなさい」とか「これじゃ受からない」などと言われ、一念発起して俄然やる気が出ることは、残念ながらほとんどありません。そのことを理解すれば、マイナスの声かけは百害あって一利もないことがわかります。今日からでもさっそくその声掛けはやめてみてください。
その代わり、何でもちょっとしたことを褒めてあげるといいと思います。勉強以外のことでも構いません。何かを見つけて褒めてください。褒めるのが苦手な方は、相手の行動をただ言葉に出すだけでも良いのです。たとえば朝珍しく早く起きてきたら「ずいぶんと早起きじゃない!」と驚いてあげてください。計算問題が満点だったら「計算問題全部合ってるじゃない!」とびっくりしてあげてください。それだけでも充分相手に心に届きます。
人間には常に「承認欲求」というものを持っています。誰かから認めてもらいたいと思って日々生きているのです。相手の行動をことに出して伝えることは、この「承認欲求」を満たしてあげる最も簡単な方法なのです。そうすることによって子どもは自己肯定感が得られます。自己肯定感の高い子どもは、何にでも前向きに取り組むことができ、多少の挫折にはくじけないようになっていくものです。
子どものやる気を引き出す環境づくりには、ご家族の皆様のご協力は欠かせません。ぜひ頑張ってみてくださいね。
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