え?どうして歌舞伎ガイドなのに、美術館?と思われましたか?
ガイドは、歌舞伎の魅力のひとつが「どのシーン、どの瞬間を切り取っても『絵』みたいにきれいであること」だと常々感じています。その「絵」というのが、つまり「浮世絵」です。浮世絵と歌舞伎は切っても切れない縁にあるのです。
太田記念美術館に「妖怪」270点集結!
今日ご紹介する「太田記念美術館」は、東京原宿にある浮世絵専門の美術館です。江戸時代末期から明治時代にかけ、多くの浮世絵が欧米に流れたことを嘆いた太田清蔵氏が浮世絵を収集しました。遺族が太田氏の遺志を継ぎ、浮世絵の常設陳列博物館として公開を始めたということです。そのコレクションは14000点にのぼるとか。
とはいえ、子連れで浮世絵を観に行っても、子どもがすぐに喜んでくれるかどうかはわからないのでは?そんな心配はご無用。2014年夏、「太田記念美術館」では、特別展「江戸妖怪大図鑑」を開催中です。(2014年9月25日(木)まで)
妖怪ウォッチに夢中な子どもも、ゲゲゲの鬼太郎に慣れ親しんだママも、ぜひ行ってみて背筋にシュルシュルと寒気を感じつつ、妖怪の世界に浸り、浮世絵の魅力を感じてみてはいかがでしょうか!
「化け物」「幽霊」「妖術使い」の3部構成にゾクゾク!
今回の「江戸妖怪大図鑑」は、長い期間中テーマを3部に分けて展示しています。第1部「化け物」は、すでに終了していますが、第2部「幽霊」は8月26日(火)まで。第3部「妖術使い」は、8月30日(土)~9月25日(木)です。歌川国芳「相馬の古内裏」(個人蔵/ 8月30日~9月25日展示)
さて、先ほど「浮世絵と歌舞伎は切っても切れない縁」と書きましたが、どういうことでしょう?
歌舞伎は江戸の娯楽の中心的な役割を担っていましたから、芝居の内容は、すぐ絵になって、多くの人たちに愛されました。ニュースでもあり、雑誌でもあり、ブロマイドでもあったのですね。芝居絵は当初は一枚ずつの絵でしたが、18世紀後半になると錦絵と言われる多色刷りの版画が発明され、大量生産も可能になりました。より多くの人々が芝居とともに芝居絵を楽しめるようになりました。
今回の浮世絵展でも歌舞伎に関係するものは少なくありません。
歌川国芳「浅倉当吾亡霊」(個人蔵/8月1日~26日展示)
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