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1年前と比べるグリー業績悪化の質の違い

かつてはソーシャルゲームで大躍進した企業の代名詞に挙げられていたグリー、しかし従来の携帯電話からスマートフォンへと市場が移って行くにしたがって、非常に難しい状況が続いています。その業績を1年前と比較して、グリーが今どうなっているかを考えます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

業績悪化が続くグリー

探検ドリランドの図

探検ドリランドで一世を風靡したグリー。

実は2013年の同じような時期に、ゲーム業界ニュースではグリーの決算についての記事を書いています。

【関連記事】
GREEの業績不振は、売上が下がったからではない(AllAboutゲーム業界ニュース)

この時グリーは通期の純利益を前年度比で半分ほどに減らし、直近の第4四半期決算で赤字を出しているということで、大きな話題となりました。後で詳しく説明しますが、この時の記事は、業績不振ではあるけれど、実は売り上げはそれ程落ちていませんよ、という内容です。

さて、それから1年が経ちまして、2014年8月13日に、2014年6月期通期と第4四半期の決算が発表されました。2013年7月1日から2014年6月末までの1年間と、2014年の4月から6月までの直近3ヶ月の業績が公になった、ということです。

先に言ってしまうと、今回も業績不振が続いています。赤字にこそなってはいませんが、内容は前回よりも悪いと言えるかもしれません。1年前と今回と、何が違うのか、見ていきたいと思います。

売り上げよりもコストが問題だった1年前のグリー

赤字転落の図

通期の利益が大きく減り、また直近3ヶ月では赤字を記録したことで、当時大きなニュースとなりました

まずは1年前のグリーがどうだったのか、かいつまんで説明していきたいと思います。冒頭お話したように、当期純利益が53%減の225億円、営業利益は約4割減でした。1年前にそう書いたわけですが、利益が半分って大変なことです。

さて、じゃあさぞかし売り上げも下がっていることだろうと思うと、売り上げは約1,522億円で、4%減となっています。そう、純利益が半分になってしまっているのに、売り上げはたったの4%しか下がって無かったんですね。売り上げが伸び悩んだ理由は、スマートフォン向けのゲームアプリの普及についていけて無かった為とされています。

じゃあ何で利益が下がっているかと言えば、問題はコストです。企業が製品やサービスを作りだすために必要なお金を売上原価と言いますが、売上原価が実は83%も増加してるんですね。広告費や、会社を維持するためのお金、販管費も増加していて、売上原価とあわせて全体で39%増、金額にして約280億円ほど増えていました。

つまり、1年前のグリーは、それまで携帯電話を主戦場としたソーシャルゲームで成長を続けていたんですが、スマートフォンへの変化には対応しきれず売り上げが横ばい、成長にあわせて大規模な投資をしていたので急には止まれず利益がごっそり減ってしまった、という状況でした。

通期の売り上げそのものに関しては大不振と言うよりは、持ちこたえてると言える数字ですが、直近の第4四半期決算の売り上げ、つまり直近3ヶ月の成績が8%減となっていまして、減少傾向が拡大していることが問題でした。コストカットはもちろんのこと、この減少傾向がさらに拡大するのか、下げ止まるのか、盛り返すのかというのがポイントです。

グリーはこの時「選択と集中」という言葉を掲げ、タイトルを絞り、少数精鋭でコストカットしながらヒットを目指すと説明していました。では、1年経ってそれはうまくいったのか、2014年6月期通期の決算を見ていきましょう。
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