顔を売るコミュニケーション術……知らない人に協力しますか?
社内報担当者の悩み、原稿、ニュースが集まらない
そこで質問です。みなさんは、知らない人からの依頼に快く協力されますか?
社内報を例に見ていきましょう。
例えば、見ず知らずの人から原稿依頼をされて、快く協力する方は少ないのではないでしょうか。しぶしぶ原稿を送るか、催促されるまでアクションを起こさないのではないでしょうか。逆に良く知った社内報担当者から依頼されたらどうでしょう?
社内報担当者の悩みとして、原稿が集まらない、ニュースが集まらない、取材に協力してくれないというものがあります。社員が協力してくれないと、社員にその要因があるかのように思っている方が多いようです。しかし、よくよく聞いてみると、自らが知られるという努力を全くしていないのが実情です。
逆の立場で考えた場合、つまり依頼される社員の立場で考えてみたらどうですか? そのような質問をすると多くの方が気づきます。「この忙しいのに原稿なんか依頼して。一体こいつは誰なんだ?」そのような反応をされてもしかたないと気づきます。
コミュニケーションは顔を売ることでスムーズに
優秀な社内報担当者の中には社長の次に顔が広いという人もいます。その方が社内を歩くと、ニュースを知らせに社員が寄ってくるそうです。イベントがあると必ず声が掛かるともいいます(カメラマンとしての腕を見込んで、ということも多いようですが)。数年前、社内報コンクールのゴールド企画賞を総なめした優秀な社内報担当者の事例です。この方は地方拠点の取材に行くときは、必ずその拠点の全社朝礼があるときに行くそうです。朝礼で挨拶する場を作ってもらい、今回どの部署にどのような目的で取材に来たのか説明するのです。そうすることにより、後日その拠点の社員に何かを依頼すると、既に社内報担当者として知られているので依頼事項がスムーズに運ぶといいます。
ある企業では、インタビュー記事には必ず取材している社内報担当者の顔が映った写真を掲載するそうです。誰が社内報を作っているかをアピールするためです。編集後記に顔写真を掲載している企業もあります。このように、いかに社員に知られるかを地道な活動で実践している企業が存在します。結果、社内報担当者と社員とのコミュニケーションがスムーズに運び、素晴らしい社内報が発行されています。
社内報は誰が作っているかが大事
社内報で会社を良くしたいと思っているかが大事
会社を良くしたいと思っているのか、社員にわくわく楽しく仕事ができるような、元気がでる情報を伝えようとしているのか。逆に、経営におもねるような、上司の顔をたてるための提灯記事を書いているのか。社内報担当者が誰なのかはもちろんのこと、もっと言えばどのような思いを持って編集しているのかを社内にアピールすることが大事なのです。
「私はこんな思いで社内報を編集している!」。社内にアピールすることで、協力もされやすくなります。その思いに合致した事例や原稿、ニュースが集まり始めるはずです。こうしたアピールをしないと、担当者が何をしたいのかが分からないがゆえに、結果として協力が得られないということになるのです。
アピールすることで評価もされる
一方でアピールすることはプレッシャーにもなります。アピールしたことができていないと評価が下がるからです。しかし、往々にして社内報編集をはじめ管理部門の仕事は、普通に出来て当たり前、すこしでもミスがあるとけちょんけちょんに言われてしまうことが多いものです。また社内での評価もされにくく、部門の地位向上を図るのも難しい部署です。一つの要因として、何を目指している部署なのか、そもそも何のための部署なのかを全社に理解されていないことが考えられます。先に記したように、何を目指しているのかが分かり、公言した目標を実現すれば、それはそれで評価されるはずです。目標を実現したことをさらにアピールすれば良いのです。
協力してもらうというコミュニケーションは、相手に動いてもらうというハードルの高いコミュニケーションです。そのためには、あなたは誰で、そもそも何をしようとしているのかを明確に社内にアピールすることが何より大事だということになるのです。これは社内報担当者だけでなく、すべての方にも共通することではないでしょうか。
相手を知るとともに、相手に知られること。コミュニケーションの大事な原則です。
【関連記事】