糸から衣服を自作する
帰国後、入院していた病院で再現制作した機織り機。
洋服職人だった横井さんは、洋服を糸から手作りすることに。パゴ(ハイビスカス)の皮の繊維を糸にし、1着分を撚るのに1か月。母が織っていた記憶を頼りに自作した機織り機で、糸を布にするのに3か月かかりました。
素晴らしい手仕事
全部で3着制作した衣服(写真)。現在は名古屋市博物館に2着、グアム島に1着が収蔵されている
作家の故・松本清張氏は、「わたしも手先の器用な兵隊は見ているが、横井さんのような兵は一万人に一人あるかないかだろう」と新聞コラムに書いています。制作には多くの時間と手間がかかりましたが、ものを作り上げるという確かな喜びは、横井さんの心の支えともなっていたようです。