企業経営のノウハウ

伝達力アップ!刺さる社内コミュニケーション術(2ページ目)

秘書に伝えたから伝わっているはず。社内報に掲載したから読んでいるはず。発信者側は往々にして自分の立場でしか考えようとしません。しかし、コミュニケーションにおいて「コミュニケーションは受け手により成立する」という、発信者側にはなんとも不都合な真実が存在するのです。では、どうすれば伝達力があがるのか。社内報を例に解説していきます。

豊田 健一

執筆者:豊田 健一

総務人事・社内コミュニケーションガイド

「インフルエンサーだけに絞る」という方法

一方で全員に伝えることもない、という考えもあります。社内報の目的は読まれることだけではありません。読まれることで社員になんらかの気づきを与え行動に結び付け、会社に動きを作ることです。だとしたら、会社に影響力のある階層、インフルエンサーだけにメッセージを伝え、そこが動くことで全社が動くのであれば、なにも全員に読まれなくても社内報の目的には合致します。
インフルエンサーに伝えている場面

インフルエンサーだけに伝えても良い



今後会社を背負っていくだろう30代のリーダークラス、店頭でバリバリと店を引っ張っている主任クラス、技術開発を仕切っているプロジェクトマネージャー達。会社にはそれぞれ影響力のある階層が存在するはずです。その社員をメインターゲットとしてメッセージを発信していくことも一つの方法です。

これは社内報だけに限ったことではありません。議事録、報告書、日々のメールなどすべての社内コミュニケーションに通じるものと考えてよいでしょう。

全員に届くメッセージは存在し得ないという真実と、目的に合致するのであれば特定の階層に絞ってメッセージを発信していくという方法。社内コミュニケーションの要諦としては、メッセージのターゲットを絞り、そのターゲットに合ったメッセージとしていくということになります。

「いかにターゲットに迫れるか」という努力

ターゲットを絞れば絞るほど、メッセージは伝わりやすくなります。なぜなら、最も伝わるコミュニケーションは一対一の会話だからです。ターゲットは一人、その相手に対してだけ伝えようとする究極のコミュニケーションだからです。つまり、社内コミュニケーションにおいてこの状態にいかに近づけるかがポイントとなります。

社内報の場合、全員に読ませようとすると、さまざまな部署の関係性の中で表現がだんだんと丸くなりますが、ターゲットを絞れば絞るほど企画の深堀が可能となります。ただし、前提としてそのターゲットのことをどれだけ知っているか、ターゲットにどれだけ迫れるかが重要です。

最後にある事例をご紹介しましょう。

社内報で大変有名な編集者。この方は社内報を担当する前は人事や総務、社長秘書をしていたそうです。ある時社長よりいきなり社内報の創刊を依頼されまし た。編集未経験のこの方は戸惑い、なぜ私が担当するのかを社長に尋ねたそうです。社長はその理由を説明しました。「あなたは社員のことを一番知っている。 あなたならきっと社員に読まれる社内報を作成できる。編集技術はそのうち身に着く」と。

ターゲットの関心事や大切にしているもの、現在の仕事状況などを知らないことには、「刺さる」メッセージは作成できません。どれだけターゲットのことを知っているか、もっと言えば、社内コミュニケーション担当者はどれだけ自社の社員のことを知っているかが大変重要になってくるのです。
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