読み手に自身の立場を明確に示す方法

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ビジネス英語に必要なライティング能力

英語でのビジネス、とりわけ外資系にお勤めの方に求められるライティング作法のなかでぜひ実践していただきたいものがあります。今回はそのうちのひとつを、ご紹介します。

そのテクニックとは「読み手に自分の立場を明確に示すこと」です。日本のような表(建前)と裏(本音)がある文化で育つとどうしても、全てさらけ出して意思を伝えることには抵抗があるものです。つまり、主張不在の中立的な態度をとりがちです。しかし、グローバル社会では自身の立場や意思を伝えないと、相手との信頼構築に支障をきたす場合があります。相手に誤解を与えないためにもしっかりと主張を述べることはビジネスの基本的なマナーともいえます。

日本人ビジネスマンの英文を読むと、文法や単語についてはレベルの高い英文作成ができていると感じます。その一方で、文章を読み終えても「何を伝えたいのか分からなかった」という印象を受けることが頻繁にあります。その主な原因は、書き手が中立なスタンスをとり過ぎるために、自身の意思や立場が曖昧になってしまうこと。

今回は、あるテーマをケーススタディに、グローバル・スタンダードに照らし合わせて「中立的な書き方」を「自分の立場を明確にする書き方」に直してみます。ポイントは「帰納法から演繹法に」。英語ビジネスに有効なテクニックのひとつとして参考にしてみてください。

改善前の英文

一人の某外資系の経理で働く日本人ビジネスマンに、英文ライティング問題を答えてもらいました。そのお題が

「ベンチャー企業で働くより大企業で働くほうが、メリットがある」という主張についてご自身の意見(賛成/ 反対)を、理由を付して述べてください。

そして彼は以下のように回答してくれました。

There are many differences between working small and large company. I would not say one is better than the other. And the choice will change in the stage of life.
Overall, I believe a large company has environment of raising a person and a small company is that a person makes a company. You can guess easily, large company has many hopes you have to jump through to get anything done. On the other hand, small company tends to have less bureaucracy, more flexibility. If you work at a small company, you will wear more than one hat. Let’s guess you are manager position of accounting and financing department. You have to address the all accounting and finance issues. Accounting, taxation, audit, cash-flow, budget and etc. Large company, on the other hand, assigns the specialist in each field. If you want to raise specialty, you choose large company. If you want to be a top of finance in early stage of your life, you should choose a small one.
When I decide to work, I will choose a small company. Because I can feel to run the company.

<日本語訳> ※一部、便宜的に意訳しています
小さな会社と大きな会社には様々な違いがあります。私はどっちが良いとは言えません。このような選択は現在の人生ステージによって変わるためです。
一般的に、大きな会社は人を育てる環境があり、小さな会社の場合人が会社を作るものと考えられます。想像しやすいことですが、大きな会社の場合、会社が望めば、その実現のために絶対に命令に従わなければならない一方で、小さな会社は官僚的な体制がなく、柔軟性があるわけです。もし小さな会社で働けば、一人何役もこなすことになります。今あなたが(小さな会社の)経理財務部門のマネジャーだったとしたら、経理財務に関わる全ての問題(会計、税金、監査、キャッシュフロー、予算等)処理をすることになるでしょう。一方で、大きな会社になると、各分野のスペシャリトとしての仕事を割り当てられることになります。もし、専門知識を伸ばしたいのであれば大きい会社を選ぶべきだし、もし若いうちに財務のトップに立ちたいと思っているならば、小さい会社を選ぶべきでしょう。
私が仕事を決めるならば、小さい会社を選択します。その理由は、私が会社を動かしていると感じ得ることができるからです。

読んだ印象はいかがでしたでしょうか? 

全体の内容を見てみましょう。彼は、2つの選択肢のメリットを自身の経験(データ)に照らし合わせて、読み手の同調を誘いながら、最終段落で自身の主張を述べる論理展開をしています。このような展開方法を帰納法と呼びます。一方で多忙なビジネスマンにとって、筋を追っていくことが困難な文章にも見えないでしょうか。帰納法自体が否定されるものではないのですが、ビジネス英文として考えると、ビジネス相手と意思疎通するためには少し修正が必要なのかもしれません。

余談ですが、"wear more than one hat"(一人何役もこなす)や"jump through"(どんな命令でも従う)というイディオムなどは日本型ビジネスでは結構使うので覚えておくのもいいでしょう。

では、次のページで改善後の英文を見てみましょう。