投資信託/要注意!投資信託のリスクと落とし穴

運用実績で投資信託を選ぶのは無意味

投資信託の運用実績は「騰落率」によって表示されます。過去1年、あるいは3年という一定期間内に、基準価額がどのくらい上がったのか(もしくは下がったのか)を示すものです。ただ、預貯金の利回りとは違い、騰落率は過去の運用実績を示しているだけなので、これを判断基準に購入するファンドを選ぶのは危険です。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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騰落率と預貯金利率の違い

ファンドを選ぶ時、過去の運用実績を気にする人が結構いらっしゃいます。でも、これはほとんど意味がありません。というのも、投資信託の運用実績はあくまでも過去のものであり、将来を確約されたものではないからです。

つまり、いくら過去1年間の運用実績が優秀だったとしても、今後1年間も同じ運用実績を維持できるとは限りません。過去の運用実績は、あくまでも過去のマーケット環境によってもたらされたものに過ぎないのです。ここが、将来の収益率を提示してお金を集めることができる預貯金との大きな違いです。

優秀なファンドマネジャーは高い運用実績を出せるか

また、こう考える人もいると思います。

「過去の運用実績が高いということは、きっと優れたファンドマネジャーが運用しているからじゃないの」

確かに、本当に優れたファンドマネジャーが運用しているケースもあるでしょう。ただ、どれだけ優れたファンドマネジャーでも、常に高い運用実績を維持できる保証はありません。

また、これはやや極端な話ですが、投資先となるマーケットが過去1年間で20%も下落するなか、同じ期間で30%もの騰落率を叩き出せるファンドがあるのかという疑問も生じてきます。

つまり、ファンドマネジャーの銘柄選択眼やトレーディングの巧拙が、運用実績の良し悪しにどの程度、影響を及ぼすのかということですが、この点については、やはりマーケットから受ける影響の方が大きいと考えられます。

これはファンドの運用実績が、マーケットの値動きに対して大きく乖離しないような運用を行っているからです。

多くのファンドマネジャーは、マーケットがプラスで推移している時、自分の運用するファンドの運用実績がマイナスになるのは避けたいはずで、そのためにはアクティブ運用であったとしても、出来るだけベンチマークに近いポートフォリオを構築しようとします。

当然、このようなポートフォリオでは、マーケットの影響を大きく受けざるを得ません。

成長可能性の高いマーケットに注目する

つまり、過去の運用実績は、過去のマーケットの値動きによって作られたものであって、それが将来も続く保証はどこにもなく、過去の運用実績でファンドを選ぶのは危険、ということになります。

だったらどうすれば良いのか、ということですが、ざっくり言えば、次の2点に注目すると良いでしょう。

(1) 今後、長期的に成長すると思われる国・地域に投資するファンドを選ぶ。
(2) 騰落率よりも資金が安定的に流入しているかどうかをチェックする。

優れたファンドマネジャーを探す前に、今後、経済的に大きく発展すると思われるマーケットを探す方が先決です。その見当が付いたら、そのマーケットに投資できるファンドを探し、資金が安定的に流入しているかどうかで、更なるスクリーニングをかけます。

ただ、過去の運用実績でひとつだけ見ておきたい点があります。それは騰落率ではなく、過去の基準価額の推移です。過去の値動きをグラフで見るのです。そうすることで、高値から安値までどのくらい値下がりしたのかが分かります。これは、要するにそのファンドが持つリスク度と考えても良いでしょう。過去、高値から半値くらいまで値下がりしたファンドであれば、その程度の値下がりリスクはあるという前提で、投資比率を検討すれば良いのです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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