夏に役立つ! お化け・幽霊・妖怪の基礎知識
これはおばけ? 幽霊? 妖怪?
怪談には「お化け」「幽霊」「妖怪」などが登場しますが、いったいどう違うのでしょう? 出る場所、出る時間まで知っておくと怖さも増すかもしれません(諸説ありますが、ここでは一般的なものを紹介します)。
「お化け」とは? 幽霊や妖怪など特異なものの総称
お化けとは、幽霊や妖怪など特異なものの総称とされています。また、得体の知れない怪しげなもの、異常に変化したもの、並はずれて大きなものを形容する場合もあります。だから、怖いものにあうと「お化けが出たー」と言い、「お化け屋敷」には怪しげなものがたくさんいて、巨大な野菜などを「おばけ○○」と呼ぶわけです。
「幽霊」とは? 死んだ人の霊が現れたもの
「うらめしや~」と出てくる四谷怪談のお岩さん。幽霊が怖~いのは、成仏できない人の霊だから
昔から、幽霊が出やすい時間があり、「草木も眠る丑三つ時」に活動するといわれています。「丑三つ時」というのは、真夜中の午前2時から2時半頃をさします。丑三つ時を方位にあてはめると、鬼門である丑寅の方角になるため、霊界の門が開くと考えられ、幽霊は丑三つ時に出ると信じられるようになりました。
幽霊=死んだ人の霊が現れたもの
【出る場所】因縁のある人物の前や、因縁のある場所
【出る時間】丑三つ時や、因縁のある時間
<例>
- 四谷怪談のお岩さん
- 戦地で兵隊さんが現れた
- 死んだ婆ちゃんが枕元に現れた
「妖怪」とは? 人間以外の動物や物から変化したもの
日本の妖怪たち(左上から天狗、鵺、猫又、傘おばけ、一つ目小僧、狐火)
恨みをもって死んだ動物や、粗末に扱われた物などが化けて現れる場合もありますが、古くから伝承されている妖怪は、自然や物事に対する畏怖の念が具現化されたものが多いのが特徴です。「物の怪(もののけ)」「魔物」「妖(あやかし)」などともいいます。
妖怪は時をあまり選ばず出現するようですが、多いのは黄昏時だといわれています。「黄昏」を古くは「誰そ彼」といい、誰かいそうだけれど薄暗くてわからないので、「あれは誰だ」と問う様子からきています。妖怪(魔物)に逢いそうな時間ということで、「逢う魔が時」とも呼ばれています。
妖怪=人間以外の動物や物から変化したもの
【出る場所】山、川、海、道、古い屋敷など、特定の場所
【出る時間】黄昏時に多い
<例>
- 天狗……山に棲み、風を起こしたり、歩く人めがけて石を落としたりする
- 鵺(ぬえ)……猿の頭、狸の胴、虎の手足、蛇の尾をもち、「平家物語」などにも登場。夜に鳴き、凶事をもたらす
- 猫又……尾が2本ある化け猫。長生きをした猫の化身で、魔力をもつとされる
- 傘おばけ(唐傘小僧)……古い傘のおばけで、とくに悪さはせず、驚かすのが好きなだけ
- 一つ目小僧……山野に棲み、通りすがりの人を驚かす
- 狐火……山里などで見られる怪火。狐の口から出るといわれている
- 子泣き爺……山に棲み、赤子の声で泣き、捨て子かと思って抱くと、石のように重くなってしがみつく
- 河童……川に棲み、川を渡ろうとする人を引き込んで、尻子玉を抜いてしまう
- 小豆洗い……川に棲み、小豆を洗う音をたて気をひき、川に落とす
- 海坊主……海に棲み、船を壊したり、船主をさらったりする
- 座敷童……座敷や蔵に棲み、物音をたてたり笑ったりする。家を繁栄させる、家の神
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▷怖い話・怪談はなぜ夏の風物詩なの?
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